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    【連載】女性と仕事 (3)非正規雇用、6割近く

    正社員登用、積極的な企業も

     正社員として活躍する女性がいる一方で、働く女性の6割近くはパートや契約社員、派遣社員などの非正規労働者だ。両者の間には賃金や処遇など大きな溝がある。


     「今の年収は約300万円。新卒の頃とほぼ同じです」。東京都内で派遣社員として働く女性(41)はつぶやいた。

     女性は短大卒業後、出版社に正社員で入ったが、体調を崩して約3年で退職。再就職した会社が1年足らずで経営不振に陥って職を失い、その後ずっと派遣社員のままだ。

    • 商品の陳列方法などについて店長(左)と相談する、西友の酒井さん(神奈川県横須賀市で)
      商品の陳列方法などについて店長(左)と相談する、西友の酒井さん(神奈川県横須賀市で)

     派遣先で嫌な思いもいっぱいした。セクハラ被害に遭い、訴えたこともあったが、出勤日数を減らされてしまい、給与に響いた。「正社員ならそんな対応はない。いかに自分の立場が弱いか思い知った」

     昨年、正社員への道を探ろうと、20社以上に履歴書を送ったが、返事は一つもなかった。「年齢的に厳しいとは思っていたが、今までの仕事は何だったのかとつらくなる」

     正社員と非正規労働者の格差は、賃金に如実に表れる。厚生労働省の2015年賃金構造基本統計調査によると、女性の正社員の平均月給25万9300円に対し、フルタイムで働く非正規労働者は18万1000円。正社員は年齢が上がるにつれて月給が上昇するが、非正規労働者は30代でほぼ頭打ちだ=グラフ=。

     人件費削減や雇用調整など企業側の意向もあり、非正規労働者の割合は年々増えている。女性の場合、1985年の32%が2014年には57%になった。ただ最近、自社のパートや契約社員らを正社員に登用する企業も出てきた。

     西友は04年、パート社員を対象にした正社員登用制度を導入した。正社員になると年1回の契約更新がなくなり、賞与が増えるので年収も上がる。約1万9000人いるパートの8割が女性。登用者は年々増え、これまで212人の女性が正社員になった。

     同社のリヴィンよこすか店(神奈川県横須賀市)の酒井直美さん(47)は、02年にパートとして働き始め、レジやサービスカウンター担当を経て11年に正社員に登用された。

     正社員になった当初は、商品発注や在庫管理などパート時代には担当しなかった業務に戸惑ったが、前年までの発注や売り上げ記録などを読み込むなどして知識を付けた。

     昨年は、副店長の候補として育成プログラムに参加し、管理職の道も見えてきた。「後に続く人のためにも頑張りたい」と意欲を見せる。

     スポーツ用品メーカーのデサントも、6月から直営店や百貨店などで接客、販売に携わる月給制の契約社員約550人を正社員登用する。このうち約9割は女性だ。

     正社員になると、財形貯蓄制度など福利厚生が手厚くなるという。同社は「優れた人に安心して働ける環境を提供することで、より成果を上げてもらいたい」と狙いを話す。

     厚労省は、非正規労働者の待遇改善や正社員化を進めるため、16年度からの5か年計画を策定。正社員化を行う企業へ助成金も出している。

     ただ、派遣ユニオン書記長の関根秀一郎さんは、「正社員化はまだ一握りの企業の動きだ」と指摘する。「結婚や妊娠、出産を理由にいまだに女性を敬遠する企業もあり、特に非正規の女性は弱い立場に置かれている。雇用形態の違いを理由とした賃金格差をなくす『同一労働同一賃金』など、差別の禁止を国が進めていくべきだ」と話す。

    2016年04月09日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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