文字サイズ

    【連載】女性と仕事 (6)在宅勤務の夫が家事育児

    両立しやすい働き方増加

     朝5時半に起床、洗濯と家族の朝食の用意をし、仕事に向かう妻と小学校に登校する子ども3人を見送る。夜は塾にいる長男に弁当を届け、同じ塾にいて先に帰る次男、スイミングスクールが終わった長女を連れて帰宅し、妻や子どもらと夕食を取る。


     生活用品メーカーのP&G(神戸市)で洗濯用洗剤の開発を担当する松本修一さん(37)の、3月下旬のある平日の姿だ。ただ、仕事が休みなわけではなく、大阪府内の自宅で在宅勤務する。家族のいない日中は、プロジェクトを進める上での課題や対処策を練り、社内会議にもインターネットを使って参加した。

     同社の社員は原則、月5回まで在宅勤務ができる。松本さんは、仕事で妥協はしないが、公務員の妻とともに家事と育児もしっかりやりたいと、在宅勤務を積極的に利用する。「妻は『すごく助かっているから、転職はしないで』と言っています」と笑う。

     同社の勤務制度には、保育園のお迎えなどで仕事を中抜けできるものもある。「個々の環境下で、社員が最高の仕事上の成果を出せるような働き方を用意した。選んだ働き方によって評価が下がることはありません」と広報担当者。

     男女雇用機会均等法の施行後、女性が結婚、出産後も正社員として働き続けることが普通になった。それに伴い、男女とも仕事と家庭を両立できるよう、柔軟な働き方を用意する企業も増えてきた。

     NTTドコモは昨年、「スライドワーク」と呼ぶ働き方を始めた。標準的な勤務時間は午前9時半~午後6時だが、午前7時~午後7時の間で、各自が30分刻みで勤務時間を前後にずらせる。

     約10人のアプリケーション開発部隊を率い、6歳と4歳の子がいる小栗しんさん(39)は、午前8時半~午後5時勤務と、標準より1時間前倒ししている。保育園への毎日の送りに加え、週2回は保育園と小学校のお迎えもする。

     別会社で正社員として働く妻との間で、「保育園の送迎ではお迎えの方が大変。買い物や料理、風呂に入れるなど、その後にやることがたくさんある」という話になり、夫婦でお迎えの分担を決めた。「子どもと過ごす時間が増えたし、お迎えもすることで他のママと知り合いになり、今まで知らなかった地域の情報が入るようになった」と喜ぶ。

     ただ、育児や家事に積極的な男性は一握りだ。2015年版男女共同参画白書によると、6歳未満の子のいる夫の家事・育児関連時間は1日あたり67分。欧米諸国の半分以下にとどまる。

     父親の育児支援に取り組むNPO法人ファザーリング・ジャパン理事の川島高之さんは、今の若い男性は家庭との両立に前向きだが、育児に参加してこなかった男性上司や昔ながらの職場風土のせいで、「家事育児のため早く帰宅すると出世に響くのでは」と危惧する人も多いという。

     「女性の活躍には夫の家事育児参加が欠かせない。パパ社員が家事や育児をすることで、生活者の視点が身につくなど、仕事にプラスに働くメリットもある。そうした点を経営者も理解し、両立支援に力を入れてほしい」と話す。

     均等法施行から30年。働く女性を支える法整備は拡充され、企業の意識も徐々に変化してきた。今後も歩みを止めず、女性のさらなる活躍につなげたい。(おわり)

     (板東玲子、二谷小百合、野倉早奈恵、荒谷康平が担当しました)

    2016年04月15日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    おすすめ


    くらげっとのつぶやき
    発言小町ランキング
    アーカイブ