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    小町拝見

    インフルでのタクシー利用…俵万智

     インフルエンザを気にかける季節。「インフルエンザでタクシー」というトピを見て、思い出す一件があった。


     学校でインフルエンザがはやっていた時、息子が急な発熱で早退してきた。素人目にも、これは感染してしまった可能性が高い。私は運転ができないので、病院まではタクシーを利用するしかないのだが、自分が運転手だったら、あまりいい気はしないだろう。例えば、その人の身内に受験生がいたりすれば、絶対に感染者とは接触したくないと思うのが人情だ。

     そこで、タクシー会社に配車をお願いする際、正直に言ってみた。インフルエンザと思われる子どもを連れて病院に行きたいのですが、と。一瞬、電話口で担当者が息をのんだ感じがしたが、「わかりました。幼稚園バスや観光バスを運転する可能性のある運転手は外します」との返答があった。

     なるほど。そこまでは考えが及ばなかったが、感染を広げないためには必要な心配りだ。厳重にマスクをした若い運転手さんが迎えにきてくれて、助かった。

     トピでは、インフルエンザの可能性がある人への乗車拒否に言及した運転手に対し、「じゃあ、乗車時にあえてインフルエンザとは告げない」といった応酬があり、若干殺伐とした雰囲気も漂っていた。

     ただ、国によると法律上、運転手が乗車を拒否できるのは重症化する恐れの高い感染症の患者らに限られていて、インフルエンザの場合は拒めないそうだ。

     こういう話を聞くと少し安心するが、思い切って事情を伝えた方がいいこともあるだろう。私は降車する際、シュシュッと座席をアルコール消毒して喜ばれた。これも、あらかじめ言っていたからこそ、できたことだ。

    俵 万智(たわら・まち)
     歌人。1962年、大阪府生まれ。24歳で出版した歌集「サラダ記念日」がベストセラーに。96年から読売歌壇選者。近著に「旅の人、島の人」(ハモニカブックス)など。
    2017年11月27日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun


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