<速報> 自民が単独過半数、立憲民主は躍進
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    (3)人間関係30人の法則…ネットニュース編集者・中川淳一郎さん

    • 中川淳一郎さん(東京都内で)
      中川淳一郎さん(東京都内で)

     ――SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が普及したことで、思いも寄らない同窓生と再びつながれるなど、ネットが人間関係を広げてくれた部分もあると思いますが、一方で、よりうっとうしくなったこともありますか?

    ランチくらい好きなものを食べたい

     中川淳一郎さん)それは、日常のすべてが「格付けの対象になった」ってことかなと思っていて、それこそ何を食ったのか、誰と会ったのか、こういうことまでがすべて報告の対象になってしまった。そうすると、コース1万5000円のすし屋に行ったときは、何としても書かなくちゃいけない。大学生でさえ、一緒にいる仲間にいかにイケメン・美女が多いとか、どれだけ充実してるとか、そんなことをネット上のつながりで比較しあっている。2013年に話題になった「バイトテロ」も、「オレ、こんなに楽しく仕事してるんだぜ」っていうアピールの側面があったようにも思えます。

     昔は日常生活って格付けしあうようなものじゃなかったですよね。車を買った、それに乗って友だちに会いに行く。「おお、すげえ! ベンツ?」みたいな。このときだけだったんですよ、格付けって。それが日々行われるようになってしまった。タワーマンションを買った人は、そこから見える東京湾の風景を写真に撮る。これも実は「どや!?」って話ですよね。日々それが展開されていて、マウンティングを24時間させられるのが、多分いまのネットの状況だと思います。

     ――マウンティング、「自分のほうが格上だ」とアピールすることですね。自分の「格」を見せつけられる出来事なんて、本当、人生に何度あるか……。

     中川)本来はね。偏差値の高い大学に入学したり、有名外資企業の内定を取ったり、そんなときにやっと言うものだったのが、ランチでさえ格付けの対象になった。それがネット時代なんですよ。ラクに生きられないですね。人の目を意識しながらメシを選ぶなんて、おかしい状況ですよ。

     ――食べたいものを食べればいい。

     中川)それでいいんですよ。オレ、グルメブロガーのブログをいくつも見てるんですけど、本当にいいもんばっかアップしてるんですよ。でも、「カップラーメンの日だってあるだろ。それもアップしろよ!」って思うんですよね。パンにバター塗っただけの日もあるはずなのに、そこは絶対にアップしない。そこまでして一般人がセルフブランディングしているっていう状況が気持ち悪い。

     ――そんなふうに自分を見せたかったり、周りから「すごい!」って言われたかったりしたいんですかね、みんな。

     中川)もしかしたらね、そういうブログやSNSがあるから人生頑張れるという人もいるかもしれない。それならいいんですよ。「フェイスブックで見せつけるべく、今は転職活動を頑張ってます」とか、そういうモチベーションがある人はすばらしいと思う。でも基本的には、「そんな自慢しないでいいじゃん」って思いますよね。

    人はもっと自分本位でいい

     ――中川さんは著書「縁の切り方」(小学館新書)で、「人間関係30人の法則」という考え方を披露されていました。

     中川)そうそう。オレが27歳で会社を辞めて無職になることを後押ししてくれたのが、本当に頼れる30人で、その内訳は時間がたてば変わってしまうんだけど、この「30人」って数はたいてい変わることがないと思う。そしてその人たちは「5階層」に分けられるんです。「一緒に会社をつくれるほど超関係の深い人」から、「仕事をムリにでも発注してくれるほど深い関係の人」「悩みを一晩かけて聞いてくれる優しい人」「飲みに一緒に行ってくれる気の合う人」。あと、別のカテゴリーに入るかもしれませんが、「普段は会わないけど、いざというときには仕事をなげうってでも助けてくれる人」。

     ――なるほど。だからムリに人間関係を広げて、ネットで面倒な付き合いまでしなくてもいいと。

     中川)1日は24時間しかありませんしね。もっと自分本位でいいんですよ。オレはもう、どうでもいい人間からいくら嫌われてもいいし、無理に好かれようなんて考えてもないです。不快な人間、つまらない人とは極力距離をおきたいし、人間関係を終わらせると判断したときには、覚悟をもってキレて、縁を切るようにしています。

     ムリはしないでいいし、「縁」とか「絆」とかに振り回される必要もない。いろんな本に何度も書いていますが、誰と会うかによって、人生は好転もするし暗転もすると思いますよ。

     ――だからこそ、「本当に重要な人間」を見極める力が大事なんですね。

     中川)よく「趣味が合う」とか言うじゃないですか。でも、もっと気の合う人間になれるのは「怒りのツボが同じ人」「嫌いなものが同じ人」だと思うんですけど、どうですか? 例えば、ブランド物を買うのが嫌い、ハロウィーンで仮装をする人はうっとうしい。

     サッカー日本代表の試合の後、渋谷のスクランブル交差点でハイタッチするようなヤツとは絶対に気が合わない。あと、ツイッターのプロフィルに「フォロー・リムーブご自由に」「ツイートは所属組織の意見を代表するものではありません」「表現を通じて世の中を変えていきたい」とか書いてるヤツとは多分30分も一緒に酒飲めない……とか。それでいて、同様の違和感を覚える人とは妙に気が合ったりして。

     ――分かるような気がします。でも、いくら中川さんが縁を切りたいと思っても、相手がそのつながりを離したがらないこともあるのでは?

     中川)それは「オレはおまえのこと嫌いだ。うるせーバカヤロー」で終わりです。どっちかが切ればいいんですよ。みんなもっとラクに生きた方がいいですよ。オレはあと少し現金を稼いだら、もう隠居したいと思ってるんです。

     ――隠居して何かしたいことがあるんですか。

     中川)魚を釣りたい。

     ――そこにはネットとか、人のつながりみたいなものは、ちょっとは要りますか?

     中川)要らない。オレは本を読んだほうがいいと思っていて、図書館に入り浸って、そこにある本を全部読みたい。本は一生かけても読み切れないくらい次々と出てくるので、楽しみは尽きませんよ。(文と写真・内田淑子)

    プロフィル

     中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう) 1973年、東京都生まれ。編集者、PRプランナー。一橋大学商学部卒業後、博報堂で企業のPR業務を担当。2001年の退社後、雑誌の編集などに携わる。ネットでの情報発信に関するコンサルティング業務なども行っている。著書に「ウェブはバカと暇人のもの」(光文社新書)、「夢、死ね! 若者を殺す『自己実現』という嘘」(星海社新書)など。


    2015年02月25日 15時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun


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