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東京大…女性活躍、「お堅い」返上へ

枠を超えて活動

女性が活躍することで、東大のイメージも変わっていきそうだ(左上から時計回りに、栗栖里奈さん、森千晶さん、大島まり教授、加藤喜子・なんでも相談コーナー室長)

 東京大学が女子学生を増やそうと懸命だ。現状は20%弱にとどまっているが、めざすのは30%。

 まだ「少数派」の女性たちのキャンパス・ライフを知ろうと、学生、教職員に取材した。

 「ガリ勉タイプの男子は結構多いですか?」

 11代目ミス東大の森千晶さん(20)(理科二類2年)に聞いてみた。返事は「いいえ」。いかにも東大生というまじめそうな学生を「イカ東(とう)」と呼ぶそうだが、「音楽や美術など勉強以外のことに励む人が予想外に多くて驚きました」。

 勧められてミスコンに参加したのも、起業サークルなど、大学の枠を超えて活動する周囲の学生に刺激を受けたためだったという。

 千葉県の進学校の出身。この大学を志望したのは、「理系なら研究費の多い方がいい」と考えたことと、学部の選択を2年生の夏まで考えられる「進学振り分け制度」の存在が大きかった。「大学院に進んで環境系の仕事に」と夢を語る。

 農学部4年の栗栖里奈さん(22)は社会勉強のため、結婚式場の配膳(はいぜん)係や野球場の受付など、さまざまなアルバイトに挑戦してきた。「東大生はどう見られてますか?」と尋ねると、「求められる能力と、自分とのギャップに悩むこともあります」と笑った。

 研究者の父にあこがれて金沢市の公立高からこの大学をめざした。現役合格はできず、上京を決意。祖父母は「一人で電車に乗ったこともないのに」と心配したが、予備校の寮での1年間の努力が実った。

 高校時代、バドミントンと吹奏楽の部活をかけ持ちした積極派。大学が昨年末に開いた女子高校生向けの進学説明会では、パネリストに引っ張り出された。

 今は食糧問題に貢献できる農業分野の研究者をめざす。「将来は結婚も出産もしたいので、研究との両立は大丈夫かと考えたりもします。立場が強くなるように女子が増えてほしい」

サポートに課題

 大学は2006年、学長直轄の男女共同参画室を設置した。副室長の大島まり・大学院教授(47)は大学院工学系研究科の出身だ。「原子力工学専攻の女子学生は私一人で珍しがられましたが、合コンでは大学名を出すだけで敬遠されていました」と苦笑する。

 30歳代は研究業績を積み重ねることに必死で、結婚は42歳。2年後に娘を授かり、キャンパス内の保育所を利用している。夫も研究者で、この3月まで単身赴任だった。「企業に比べて、大学は女性のサポートが遅れています。子どもが少し熱がある時の手助けなど、きめ細かい配慮も必要です」と力を込める。

 学内の「なんでも相談コーナー」室長を務める加藤喜子(のぶこ)さん(61)は職員として40年近く学生と接してきた。「昔は女子がもっと少なくて、肩に力が入った子もいましたが、今は自然体が当たり前。すっかりイメージが変わりました」。菊川怜さんらOGタレントの存在感も大きいという。

 「お堅い」というこの大学の枕詞(まくらことば)も変わってゆくのか。取材で会った方々の柔和な表情を思い出して、そう思った。(保井隆之)

〈沿革〉
 東京開成学校と東京医学校が合併し、1877年に創設。本郷、駒場地区の各キャンパスに法、経済、文、教育、教養、工、理、農、薬、医の10学部がある。学生数約1万4000人。2008年度の女子学生の割合は19.4%で、工学部8.9%など理系が特に低い。教員も男性が大半のため、大学は10年までに常勤研究者の女性採用比率を25%以上にするなどの数値目標を定めている。OGに評論家の樋口恵子さん、弁護士の住田裕子さん、ボーカリストの鈴木重子さんら。


(2009年4月10日掲載)

2010年1月1日  読売新聞)
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