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富士常葉大…防災の担い手育む土壌多い公務員志望者東海道新幹線を新富士駅で降り、車で約20分。静岡県富士市の富士常葉(とこは)大学に降り立つと、山頂が冠雪した富士山が雄大に迫ってきた。 阪神大震災から5年後の2000年に開学。全国でも珍しい地震・火山の防災を学べる環境防災学部と大学院をもつ。総合経営、保育学部とともに「地域に貢献できる人材育成」を目指す。 授業を見学するため、職員の案内で校舎の4階に上った。教室の北側の窓からは、活火山・富士山の山頂が、南側の窓からは、東海地震の震源と想定される駿河湾が望めた。大学自体が、防災上、重要な場所に立っている。 環境防災学部の特徴は、国内外の防災研究の最前線を知る、経験豊かな教授陣だ。 「昔、沼地だった地域は地盤が軟弱。こういう所は震度が1段階は高くなる」 10月28日、全国に普及した災害図上訓練(DIG)の考案者で、元防衛研究所助手の小村(こむら)隆史准教授(46)が、1〜4年生対象にDIGの実習を行った。1933年と最近の測量地図を机に広げ、災害時に危険性が高い地域を分析する学習だ。埋め立て地に住宅が立つ地域など、土地利用の変化に注目する。 「災害は発生前にリスクを把握しておくことが大事」と小村准教授。参加した2年生細貝悠斗さん(19)は「自分は新潟県出身で、中越地震で家が一部壊れた。大学で学んだことを生かし、将来は市職員になりたい」と語った。 内閣府中央防災会議委員として国の防災戦略の決定にもかかわる重川希志依(きしえ)教授(52)は、被災者の生活再建を考える「環境防災コミュニティ論」などを教える。「ここの学生は消防や市役所など公務員志望者が多い。防災で大切なのは住民の自助であることを市民に広められる人材を育てたい」と話している。 同学部では防災と並んで環境教育も充実。バイオマスエネルギーを研究する4年生杉山綾さん(22)は「小さい大学なので先生と学生が和気あいあいとした雰囲気。やる気のある学生には先生も熱心に指導してくれる」と満足している。 小さくともキラリ首都圏や中京圏の大学と学生確保を競わなければならず、厳しい経営環境が続いている。このため、来年度から、看板だった環境防災学部を社会環境学部と改称することを決めた。 木宮健二学長(59)は「学部から『防災』の名は消えるが、防災教育を縮小するのではない。社会心理学、社会人類学などの講座を設け、学生を幅広く集めるための戦略」と話す。 同学部生は就職で高い実績を残す一方、理工系学部と誤解されたり、「防災」の名前に女子から敬遠されたりする傾向もあった。このため、文理融合の学部としてイメージ刷新も図る。 卒業生は各地で働き、知名度も全国に広まりつつある。「小さくともキラリと光る大学を目指す」との木宮学長の言葉通り、独自の道を模索し続けている。(瀬畠義孝)
(2010年3月8日 読売新聞)
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