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明治学院大…募金に頼らず海外支援

遺志を継いで

東南アジアから買い付けた雑貨の売り上げで、現地の子どもたちへの教育支援を続けるボランティア団体「ジュンコ・アソシエーション」の学生たち(11月1日、白金キャンパスで)=田中成浩撮影

 冬晴れの空に、富士山が浮かぶ。明治学院大学の横浜キャンパスは、横浜市戸塚区の高台にあった。学生たちは、駅からの長い坂の行き来を、「登山」「下山」と称する。

 「1000円買ったら100円引きにしよう」「100円コーナーはどうか」

 授業が少ない水曜日の夕方、空き教室で学生たちが、学園祭の出店に向けた“販促会議”を開いていた。

11月からカフェの一角に登場したサラダバー。朝採れた野菜が並ぶ。残った野菜は堆肥(たいひ)にする(11月9日、横浜キャンパスで)

 作戦を練っていたのは、ベトナムとミャンマーで小中学生らの教育支援に取り組むボランティア団体「ジュンコ・アソシエーション」の面々。現地で仕入れた色鮮やかな民族衣装や小物を販売するビジネスは、募金に頼らず支援活動を続けるための大切な収入源だ。

 「子どもの学費助成や現地の校舎改修など、予算はいくらあっても足りない。みんな真剣です」。副代表の吉原まり恵さん(21)(国際学部3年)が話す。会議はいつも白熱し、終電で帰ることも多いという。

 「ジュンコ」は、この大学の学生だった。旅行でベトナムを訪れ、「現地の貧しい子を助けたい」と願っていたが、在学中に事故で亡くなった。友人らが遺志を継いで始めた活動は、後輩に受け継がれて今年が15年目。学生たちはアルバイトで渡航費を稼ぎ、顔の見える支援を続けている。

 緑豊かな横浜キャンパスの話題・名物を学生50人に尋ねた。1位は富士山の眺め、2位は時おり顔を見せる野生のリス。学内のカフェに最近登場したサラダバーも、いずれ名物に加わりそうだ。地元の農園でその朝採れた野菜が並ぶ。

 国際学部3年の高柳純一さん(22)は、この農園で週2日、ボランティアとして働く。「校外実習で障害者と農作業をしたのが楽しくて、もっと土にさわりたくなった」と笑う。いつか故郷の茨城で、人がふれあう体験農園を開く夢もある。

模擬投票

 大学の本部がある白金キャンパス(東京都港区)で10月の土曜日、若者の投票率アップの具体策を競うイベントがあった。集まった学生、高校生計100人は、「国民意見反映党」など架空の5政党に分かれマニフェストを発表。「景品で投票者を増やす」「物で釣るのは変だ」といった議論をし、模擬投票を行った。

 学生の社会参加促進を目指し、法学部と東京青年会議所が共催した行事。司会役の法学部3年、平野真衣子さん(21)は「若者が政治に参加すれば社会は変わる。そんな大きな流れへの一歩になれば」と語る。

 聖書の言葉「Do for others(他者への貢献)」が大学の教育理念。医師、教育者として近代日本に尽くした創始者・ヘボン博士の生き方を伝えるためだ。博士の来日から150年、白金キャンパスの礼拝堂にこの秋、新しいパイプオルガンが完成した。

 この巨大な楽器にも、平和な未来への願いが込められている。「2045本のパイプすべてに大切な役目がある。人間社会と同じです」と、製作者のオランダ人。きまじめに社会と向き合う学生たちに、ぜひ伝えたい言葉だと思った。(村尾潤)

〈沿革〉
 ローマ字の表記法にも名を残すヘボン博士は1859年、キリスト教布教のため来日。横浜で来日4年後に開いた「ヘボン塾」の塾生には後の宰相・高橋是清らもいた。その流れをくむ学校などが合併して1886年、明治学院が誕生し、1949年に4年制大学となった。現在は文、経済、社会、法、国際、心理の6学部。古い洋風建築が残る白金では3、4年生の多くが、横浜では主に1、2年生が学ぶ。学生数は約1万2000人。詩人・小説家の島崎藤村、ノーベル平和賞・文学賞候補の社会運動家・賀川豊彦もかつての明治学院に学んだ。


(2009年12月18日掲載)

2010年3月17日  読売新聞)
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