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梅の花見ごろむかえる

梅干しは「万能薬」 ふるさとは中国・中央部

 白や紅色(べにいろ)の梅(うめ)の花が見ごろをむかえ、ふくよかな香りをただよわせる季節になりました。春はもうすぐです。梅の花は古くから歌によまれ人々の心をなごませ、梅の実は健康(けんこう)にいい食べ物として私たちにめぐみを与えてくれます。今回は梅について学んでみましょう。


和歌山県みなべ町では梅の花が満開(左上)。ごはんの上においしそうな梅干し(右上)。見ごろとなった紅梅(右下)。収穫された梅の実(左下)

育つ やってみよう インターネット

 みなべ町で梅農家を営む月向雅彦(げっこうまさひこ)さんのホームページ(http://www.minabe.net/)では、太平洋を見下ろす丘にある月向さんの梅畑に案内してくれます。たくさんの写真を見ながら、1年を通じて梅の栽培を体験(たいけん)しているかのように梅が育つ様子がわかります。

 1月につぼみがふくらみます。花が咲くとミツバチがきて、あたりの山々を白く染めます。花が散ると赤いがくの中に実の赤ちゃんが顔をのぞかせ、春の新緑(しんりょく)の中で育ちます。6月ごろ梅雨(つゆ)に入ると、雨の恵(めぐ)みを受けて実が大きくなり、7月にかけて畑に張ったネットに落ちた実を収穫(しゅうかく)。そして梅干し作りに入ります。

 ほかに、全国の梅の名所を集めたお花見マップや、梅干しや梅肉(ばいにく)エキスなどの作り方も紹介されています。

歴史 図書館に 行ってみよう

 「そだててあそぼう ウメの絵本」(吉田雅夫著、農山漁村文化協会)という本に、梅は中国で生まれたと書かれています。

 梅のふるさとは、ヒマラヤ山脈(さんみゃく)の東側、中国の雲南省(うんなんしょう)や四川省(しせんしょう)、チベット地方といわれています。中国では紀元前(きげんぜん)2000―4000年ごろから梅が栽培(さいばい)され、日本へは弥生時代(やよいじだい)には伝わったと考えられ、弥生時代の遺跡(いせき)から梅の木の破片(はへん)やタネが発見されています。

 「花見(はなみ)」といえば、桜を思いうかべますが、奈良時代(ならじだい)から平安時代(へいあんじだい)にかけてのころまでは、桜(さくら)より梅の方が好まれたようです。和歌(わか)を集めた本として日本で最初に作られた「万葉集(まんようしゅう)」には、梅をよんだ歌が118首(しゅ)あり、桜をよんだ40首よりも多く記されています。

 平安時代の学者で、学問の神さまとして知られる菅原道真(すがわらのみちざね)は、幼いころから和歌や漢字だけで書いた漢詩(かんし)を作る才能(さいのう)にめぐまれ、右大臣(うだいじん)という高い地位(ちい)につきました。しかし、左大臣(さだいじん)にねたまれ、低い地位に下げられて今の福岡県(ふくおかけん)の太宰府(だざいふ)に流されました。その旅立ちの日に、庭の梅の木に向かってこんな歌をよみました。

 東風(こち)ふかば におひおこせよ梅の花 あるじなしとて 春なわすれそ

 東からの風が吹いたら、それにのせて梅の香りを届けておくれ。あるじの自分がいなくても春を忘れないでおくれ、という意味です。

 この梅の木は、道真を慕(した)って、京都から一晩で太宰府まで飛んでいき、根を下ろしたという「飛び梅伝説(でんせつ)」として語りつがれ、今も太宰府天満宮(だざいふてんまんぐう)で「飛梅(とびうめ)」として花を咲かせています。

健康 博物館に 行ってみた

 全国一の梅の産地、和歌山県(わかやまけん)のみなべ町。枝いっぱいに白い花をつけた梅林が広がるこの町に「みなべ町うめ振興館(しんこうかん)」があります。ここでは、梅の実が人の健康に役立つ食べ物であることを学ぶことができます。

 カルシウムや鉄などのミネラルとよばれる栄養(えいよう)が不足すると、人の体はバランスをくずし、病気になります。梅の実にはミネラルがたくさんあり、リンゴに比べ、カルシウムは4倍、鉄は6倍含まれています。

 梅干(うめぼ)しをおにぎりやお弁当に入れると、ごはんやおかずが腐(くさ)りにくいことはよく知られていますね。梅干しに含まれるクエン酸(さん)などの働きでばい菌(きん)が育つのをおさえるのです。すっぱさの元になるクエン酸には食欲を増し、疲(つか)れをとる働きもあります。

 梅干しは「万能薬(ばんのうやく)」と言われます。平安時代に書かれた医学(いがく)の本に、梅干しに薬の効果(こうか)があると記されています。江戸時代(えどじだい)に書かれた「雑兵物語(ぞうひょうものがたり)」には、戦国時代(せんごくじだい)にいくさをした武士が梅干しと、米と氷砂糖(こおりざとう)の粉をねって丸めた「梅干丸(うめぼしがん)」を持っていたと書かれ、のどのかわきをいやし、息切れをととのえたといいます。

 うめ振興館では、こうした梅についての知識(ちしき)がパネルや映像で紹介されているほか、150年ほど前の江戸時代に作られたという梅干しから明治、大正、昭和、平成の時代までの梅干しの実物(じつぶつ)も展示されています。

 「みなべ町うめ振興館」(和歌山県みなべ町谷口538の1、(電)0739・74・3444)は入館無料。午前9時―午後5時。休館日は火曜(火曜が祝日の場合はその翌日)。

2005年2月25日  読売新聞)
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