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知る力 また伸ばそう

日本の15歳 学力低下

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●イラスト スタジオスパイス(佐藤加奈子)

 世界(せかい)の41の国や地域(ちいき)で行われた国際的(こくさいてき)な学力調査(がくりょくちょうさ)の結果(けっか)が7日に発表(はっぴょう)されました。その結果を知って、大勢(おおぜい)の人がショックを受けています。日本の子どもは読解力(どっかいりょく)の低下(ていか)が目立(めだ)ち、世界トップレベルとは言えなくなっていることが分(わ)かったからです。

 これは経済協力開発機構(けいざいきょうりょくかいはつきこう)(OECD(オーイーシーディー))という国際的な組織(そしき)が行った「国際学習到達度調査(こくさいがくしゅうとうたつどちょうさ)」で、15歳の男女に対して行われました。2000年に続いて今回は2度目の調査になり、OECDに入っている先進国(せんしんこく)をはじめとする41の国や地域で合計約27万6000人が受けました。日本では昨年7月に実施(じっし)され、全国の143校で学ぶ高校1年生約4700人が受けました。

 調査は、覚(おぼ)えた知識(ちしき)や技能(ぎのう)を日々(ひび)の生活にどれだけ生かせるか、という能力(のうりょく)を調べるのが目的(もくてき)で、「読解力」「数学的応用力(すうがくてきおうようりょく)」「科学的応用力(かがくてきおうようりょく)」「問題解決能力(もんだいかいけつのうりょく)」の4つの分野(ぶんや)に分かれていました。

 「読解力」は問題の内容が明かされていませんが、「数学的応用力」では、ある人が砂浜(すなはま)に残した足跡(あしあと)の歩幅(ほはば)を公式(こうしき)から求める問題や、2つの国の人がインターネットでチャットをする場合の時差を考える、といった問題が出されました。「科学的応用力」では、太陽(たいよう)が地球(ちきゅう)を照(て)らす図(ず)をみて、そこに赤道(せきどう)などを書き込む問題などが、「問題解決能力」では、3人で映画(えいが)を見に行く場合、それぞれの都合(つごう)をうまく調整(ちょうせい)して、いつ、どんな映画を見に行くことができるかを考える問題などが出されました。

読解平均以下

 OECD加盟国の平均(へいきん)を500点とした場合、日本は、読解力498点、数学的応用力534点、科学的応用力548点、問題解決能力547点でした。3つの分野で平均を上回りましたが、読解力では下回りました。数学的応用力は前回の1位から6位に、読解力は8位から14位まで落ちてしまったのです。

 皆さんは、この結果をどう受け止めますか。「そんなの関係ない」「私たちだって頑張(がんば)っているのだから、いやなことを言わないで」と思うかもしれませんね。

 でも、こうやって数字で出された結果を見て、「今のままの教育(きょういく)でいいのだろうか」と、大人たちは悩(なや)んでいます。

 子どもにどんなことを教えるかを決めている文部科学省(もんぶかがくしょう)は、これまで「(日本の学力は)世界トップ水準(すいじゅん)」と胸(むね)を張(は)ってきましたが、今回の調査結果を見て危機感(ききかん)を持ったようです。「国際的に見て上位(じょうい)にあるが、読解力の低下など、世界トップレベルとは言えない状況(じょうきょう)」だとして、読解力を高めるために何をしたらいいのか、急(いそ)いで対策(たいさく)を考えることになりました。

 「読解力」というのは、文章(ぶんしょう)を読んで、それを書いた人がいいたいことを正しく理解(りかい)する力です。この力があるからこそ、私たちは、ほかの人の知識(ちしき)や考え方を知り、自分の世界を広げることができるのです。これは人間が社会の中で生きていく上で大切な能力です。

 読解力を身につけるためには、本を読んだり、自分の考えを文章で表現(ひょうげん)するなど、じっくり時間をかけて勉強する必要があります。ほかの分野も同じで、今回出された問題は、ただ暗記(あんき)するのではなく、学んだことを応用する力を試(ため)すものばかりでした。

  読解力 数学的応用力
〈1〉 フィンランド 香港
〈2〉 韓国 フィンランド
〈3〉 カナダ 韓国
〈4〉 オーストラリア オランダ
〈5〉 リヒテンシュタイン リヒテンシュタイン
〈6〉 ニュージーランド 日本
〈7〉 アイルランド カナダ
〈8〉 スウェーデン ベルギー
〈9〉 オランダ マカオ
〈10〉 香港 スイス
〈11〉 ベルギー オーストラリア
〈12〉 ノルウェー ニュージーランド
〈13〉 スイス チェコ
〈14〉 日本 アイスランド
〈15〉 マカオ デンマーク

ゆとり影響?

 専門家(せんもんか)の中には、「今の子どもたちは携帯(けいたい)メールのような短い文のやりとりばかり。長い文章を読み書きする力がおとろえた」と指摘(してき)する人もいます。「ゆとり教育」が求められて学校の授業時間(じゅぎょうじかん)が減ってしまい、応用力を身につける時間のゆとりがなくなったとも言われています。塾(じゅく)などに通っている子と、通っていない子の間で格差(かくさ)が広がってしまうのではないか、と心配(しんぱい)する声もあります。

 今回の調査と同時に行われたアンケートの結果、一週間で学校の授業(じゅぎょう)以外に勉強(べんきょう)や宿題(しゅくだい)をする時間の平均は6・5時間でした。これは加盟国(かめいこく)平均の8・9時間よりかなり短くなっています。ロシアでは18・4時間、イタリアは12・8時間、韓国は12・7時間も勉強していることも分かりました。

 成績(せいせき)が上位だった国は、厳(きび)しい受験競争(じゅけんきょうそう)の中で子どもが必死(ひっし)に勉強し、教師(きょうし)のレベルアップにも努(つと)めているようです。

 日本は資源(しげん)が乏(とぼ)しい国ですが、高い技術力(ぎじゅつりょく)によってすばらしい製品(せいひん)をつくり、経済的(けいざいてき)に豊(ゆた)かな生活をしています。学力の低下は、ひいては技術力の低下につながりかねず、このままでは日本は世界の中で取り残されてしまいます。

 学力を伸ばすために何が必要なのか、皆で考えていかなければなりません。

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2004年12月11日  読売新聞)
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