文字サイズ
    学校、受験など教育に関する掘り下げた記事をタイトルごとに掲載します。
    学校 モノ・風景

    成長期の栄養の「定番」…給食の牛乳

    読売新聞教育部 桜木剛志
    • 現在は四角い紙パックや瓶が主流
      現在は四角い紙パックや瓶が主流

     「お湯で溶かし、ポットやずんどう鍋に入れた脱脂粉乳を給食当番がアルマイト製の器につぎ分けていくんです」

     牛乳に関する資料約6000点を展示するトモヱ乳業(茨城県古河市)内にある「牛乳博物館」。当時使われたポットの前で、同社の増田智彦さん(63)が小学生時代を懐かしんだ。

     脱脂粉乳は、牛乳の乳脂肪分や水分を除き粉末状にしたもの。食糧事情が厳しい終戦直後、米国の民間団体や国連児童基金(ユニセフ)から援助物資として送られ、各地の学校給食で出された。貴重な栄養源だったが「においが独特で味は薄い。目をつぶって我慢して飲んだ」と増田さん。

     大阪府の寺山美喜子さん(59)も「ぬるくなるとまずさが増すので、給食が始まると一気に飲んでいた。でも残す子はおらず、お代わりをする子もいた」などと回想する手紙を本紙に寄せた。

     子どもの栄養改善を目的にした学校給食法の成立(1954年)や酪農業の振興などを背景に、1960年頃から脱脂粉乳に代わり、生乳100%の牛乳の普及が進んだ。地域によって切り替え時期は異なるが、寺山さんは小学校高学年で牛乳が給食に出た時、「あまりのおいしさにうれしくて小躍りした」という。

     容器は瓶か紙パックで、紙パックは60年代半ばから三角型が広まり、その後、持ち運びしやすい四角型に移行。再利用できる瓶の牛乳は、今でも4分の1を占める。

     2013年度時点で、国産の牛乳生産量の1割にあたる約37万キロ・リットルが給食で消費されている。学校給食の歴史に詳しい女子栄養大の金田雅代客員教授は、「時代を問わず、給食の牛乳は成長期に必要なカルシウムやたんぱく質の供給源として重要な役割を果たしてきた」と話す。

     国は6~14歳の子どもが1回の給食で取るべきカルシウムの目安を300~450ミリ・グラムに設定。その半分以上を200ミリ・リットルの牛乳で補給できる。給食での牛乳提供は義務ではなく、「和食に合わない」と見直しを検討する動きもあるが、「定番」の座は揺るぎそうにない。(桜木剛志)


     「学校 モノ・風景」では学校生活を彩るモノや行事を通し、教室や子どもの暮らしの変遷をたどります。今後「学生帽」「通信簿」「プール」などを取り上げる予定です。
     エピソード・氏名、電話番号などを明記し、〒100・8055 読売新聞東京本社教育部へ。ファクス03・3217・9908.メールは kyouiku@yomiuri.com
    2015年06月16日 08時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun