文字サイズ
    学校、受験など教育に関する掘り下げた記事をタイトルごとに掲載します。
    学校 モノ・風景

    水難事故防止へ整備進む…プール

    読売新聞教育部 山田睦子

     「大きなため池の中に、板で四角く囲った『50メートルプール』をつくり、小学校の水泳大会が開かれていた」。

     熊本育ちの竹宇治(旧姓・田中)聡子さん(73)が思い出を語る。

     6年生の大会で背泳ぎ1位となり、中学校では水泳部に勧誘された。ため池は、部活でもプール代わりに使われた。「夏休みは一日中、池で過ごした」という竹宇治さんは1960年、ローマ五輪女子背泳ぎの銅メダルに輝く。

     文部科学省の資料などによると、学校でプールが本格的に整備され始めたのは60年代。それ以前は、せき止めた川やため池、海をプール代わりに使う学校が多かった。国際武道大学の土居陽治郎教授(55)によると、子どもの水難事故を防ぐため、学校教育の中で「水泳能力」を身に付けさせる必要性が高まり、プール建設費の国庫補助も始まった。今は約9割の小学校にプールがあり、水難事故で亡くなる子どもが激減した。「学校のプールがこれほど整備された国は、世界的にも珍しい」と土居教授は話す。

     急ピッチで整備されたプールは当初、コンクリート造りが主流。70年ごろ東京都八王子市の小学校教諭だった市川武邦さん(74)は「歩くとざらざらして足の裏がすりむけた。井戸水で水温が15~16度と冷たいのに、子どもは平気で泳いでいた」と振り返る。

     最近は、ステンレス製や強化プラスチック製のプールが増えた。青い塗装などが施されカラフルにもなった。

     2009年新築の小中一体型校舎を持つ東京都北区立王子小・王子桜中学校は、プールを最上階の4階に設置。ガラス屋根は一部開閉式で5月後半から10月半ばまで泳げる。床を上下に動かし深さも調整できる。事故防止のため飛び込み台はない。王子桜中の富張雄彦校長(62)は、「私が小学校低学年のときは学校にプールがなく、水泳の授業は近くの公営プールで行っていた。隔世の感がある」と最新型のプールに目を向けた。(山田睦子)

     「学校 モノ・風景」では学校生活を彩るモノや行事を通し、教室や子どもの暮らしの変遷をたどります。今後「林間学校」「防空ずきん」「幻灯機」などを取り上げる予定です。
     エピソード・氏名、電話番号などを明記し、〒100・8055 読売新聞東京本社教育部へ。ファクス03・3217・9908.メールは kyouiku@yomiuri.com
    2015年07月28日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun