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    学校 モノ・風景

    健康増進から野外活動へ…林間学校

    読売新聞教育部 高山千香

     「ラジオ体操、花畑の散策、昼寝もした。山の緑が濃くて感激した」。

     長野県中川村の高橋秀年さん(73)は、小学5年生の時、当時住んでいた東京都中野区から信州の蓼科高原へ林間学校に行った思い出を語ってくれた。

     早稲田大の野口穂高専任講師(36)(教育史)によると、林間学校が広く行われるようになったのは大正期の1920年代。欧米で実践されていた病弱な子ども向けのイベントをモデルに自然の中での体操や昼寝などを通して健康な体を作る活動を、教員で作る団体や自治体が実施した。海の近くで行うものは「臨海学校」と呼ばれた。

     その後、自然への理解や集団生活による協調心が養えるなど教育的な効果もあると評価され、一般の児童生徒も対象になっていった。

     戦時中は中止されたが、1958年告示の学習指導要領に、心身の健全な発達などを目的とした「学校行事」が位置付けられると、林間学校もその一つとして、実施校が増えていく。

     野外活動に詳しい明治大の星野敏男教授(63)は「飯ごう炊さんやキャンプファイアなど野外活動の色合いが濃くなったのは、そのころからでは」と指摘する。教育関係者向けのキャンプ指導者講習会が開かれたといい、70年代からは国公立の「少年自然の家」の整備も進んだ。

     高知市の会社員、泉田優さん(54)は、小学3年生の時、愛知県のキャンプ場の林間学校に参加。たき火を囲み、カレーライスを作り、テントで寝た。「飯ごうで初めて炊いたお焦げ付きのご飯、野菜の大きさが不ぞろいのカレーは、家で作るものより何倍もおいしく感じた」

     最近の林間学校では、環境教育も行われている。滋賀県では全小学4年生が、林業に携わる人の話を聞いたり、間伐体験を行ったりして森林の大切さを学ぶ。大津市の「葛川少年自然の家」で約40校を指導する中野太洋さん(25)は、「自然を守ろうという気持ちを育むプログラム作りを心がけている」と話した。(高山千香)

     「学校 モノ・風景」では学校生活を彩るモノや行事を通し、教室や子どもの暮らしの変遷をたどります。今後「防空ずきん」「幻灯機」「黒板」などを取り上げる予定です。
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    2015年08月04日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun