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    学校 モノ・風景

    スチール製登場 機動的に…机

    読売新聞教育部 石川純
    • 天板を開けるとノートパソコンが出てくる机(大妻多摩中学・高校提供)
      天板を開けるとノートパソコンが出てくる机(大妻多摩中学・高校提供)

     「頑丈だけど、高学年にならないと一人では持ち上げられないぐらい重かった」

     千葉県御宿町の安藤操さん(79)は、国民学校の教室で使っていた木製の2人用机の思い出を語る。机は天板部分が開き、中に教科書や筆箱を入れていた。「天板には、人の名前や、いたずら書きが彫られていた。自分が使っていたという証しを残したかったのでしょうか」と安藤さん。

     京都市学校歴史博物館の和崎光太郎学芸員によると、明治初期、政府が学校で西洋式の集団授業を始める際、机やイスなど備品の西洋化も求められた。2人用机は、数に限りがある教科書を共用でき、教師が児童生徒の様子を見守りやすいと導入する学校が相次いだようだ。

     戦後の1952年、学校の机やイスの大きさなどの基準を示した日本工業規格(JIS)が定められた。その前後から、脚などがスチール製の1人用机が広まり始めた。

     折り畳みイスメーカーだったホウトク(愛知県小牧市)は、鉄パイプの加工技術などを生かし、61年から学校用の机やイスの製造を始めた。同社製造統括マネジャーの大橋昌己さん(64)は、「軽くて丈夫なスチール製の机は、運搬も容易にした」と話す。

     その後、児童生徒の体格の変化などに対応し、JISが99年に改正され、学校の机は従来より大型になった。2000年代に入ると、強度を保ちつつ、天板を軽くした机も登場。また、物入れの部分をリサイクル可能な樹脂製にしたり、半透明で見やすくしたりと、新しいタイプが続々と出てきた。

     私立大妻多摩中学・高校(東京都)は、天板の内部にノートパソコンが収納された机を3年前に導入した。パソコンを使った授業などを行う専用教室での設置だが、「天板を開けるとそのままパソコンが操作でき、閉めると普通の机としてノートをとることもできる。生徒が授業を受けやすくなった」と同校の松田武教諭は説明する。

     機動的になった机が、学習意欲を高めているらしい。(石川純)

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    2015年09月29日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun