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    スクールデイズ

    未来開けた進路相談…広瀬章人さん

    聞き手・石塚公康

    将棋棋士

    • 安斎晃撮影
      安斎晃撮影

     高校時代は、プロ棋士への登竜門「奨励会」の対局のため、月2回ほど学校を休んでいました。でも、普段は、放課後に友達とゲームセンターに行ったり、バスケットボールをしたり。さいたま市の自宅から東京都北区の私立東京成徳大学高校に通学し、高校生活を楽しみました。

     3年生の時に担任になった数学の佐藤則之先生(47)は将棋好きで、職員室の前の廊下や教室で、よく指しました。自陣の飛車、角などの駒を抜くというハンデを背負う「六枚落ち」では、一度敗れました。

     先生はがっちりした体格で、授業中、居眠りをする生徒を大声で当て、公式を言わせるので、怖がられていました。けれども、進路相談に何度も乗ってもらううちに、「生徒のことを親身になって考えてくれる優しい先生だなあ」と思うようになりました。

     当時、私は大学に進むか、そのまま将棋に専念するか、悩んでいました。先生に相談すると、「棋士になるにしても、大学に行く方が、お前の将来のためになる」と助言してくれました。夜間部への入学も考えたのですが、先生に「早稲田大学の推薦入試を受けてみては」と言われ、教育学部数学専修を受験する気持ちを固めました。

     入試では数学の筆記試験もあったため、先生に受験用の参考書を薦めてもらい、分からないところを教わりました。結果は合格。報告すると、「よくやった。おめでとう」と握手してくれました。

     気をよくした私は、奨励会での成績も上向きに。3月の卒業式翌日の対局で勝利し、プロ入りの切符を手にしました。早速、先生に電話で伝えると、わがことのように喜んでくれました。

     大学では、好きな数学の勉強に励む一方、学部の友人らと酒を飲みながら将来を語り合いました。棋士同士だとほとんど将棋のことしか話さないので、視野が広がりました。あの時、先生の助言に従って、本当によかったと思っています。(聞き手・石塚公康)

    プロフィル
    ひろせ・あきひと
     1987年、東京都生まれ。4歳頃に将棋を始め、小学6年生で奨励会に入会。2005年、早大入学と同時にプロ棋士に。10年に現役大学生として史上初の王位を獲得。14年八段に昇段。

     (2015年10月23日付読売新聞朝刊掲載)

    2015年10月26日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun