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    スクールデイズ

    別の何かになりたかった…大谷亮介さん

    聞き手・泉田友紀

    俳優

    • 大谷亮介さん(杉本昌大撮影)
      大谷亮介さん(杉本昌大撮影)

     3月生まれで、子どもの頃は体が小さく、走るのは遅いし、力も弱かった。

     兵庫県西宮市の市立小学校に通っていましたが、同級生らとはあまり遊ばないで、よく一人で、劇のようなストーリーを考えて熊のぬいぐるみや人形に演じさせていました。

     自分が動物になりきるのも好きでしたね。ピンセットで庭の草をついばんで鶏のまねをしたり、ライオンになったまま丸1日過ごしたり。弱くて劣等生だったから、何か別のものになりたいという願望もあったのかもしれません。

     神戸市の私立六甲中学に入り、3年生の時に英語劇に出演しました。演技指導は英語教材「プログレス・イン・イングリッシュ」の著者として知られるロバート・フリン先生。英語教育の一環でしたが、観客の前でセリフを言うのが心地よかったのを覚えています。

     といっても、まっすぐに演劇の道に進んだわけではないんです。高校生の時はサッカーに打ち込みました。急に体が大きくなって、サッカー部のレギュラーになり、県代表としてインターハイ(全国高校総体)にも出場しました。

     将来は生物学者になろうと、東京水産大学(現東京海洋大学)に入りましたが、勉強する気になれずに遊んでばかりいました。心配した友人に、都内の劇団の公演に連れて行かれ、「お前、向いてるんじゃないか」と勧められたのがきっかけで、別の劇団を受け、合格しました。

     大学を中退し、遊びの延長みたいな気持ちで芝居を続けていたのですが、10年ぐらいたった時、舞台の上でふと、「これは天職じゃないか」と感じました。人間が人間を演じるのは、人間とはなんぞや、と問いかけること。演じることで、人生の秘密をちょっと味わえるような気がするんです。別の何かになろうとした子どもの頃の遊びもどこかで、今につながっているのかもしれませんね。(聞き手・泉田友紀)

    プロフィル
    おおたに・りょうすけ
     1954年生まれ。「劇団壱組印(いちくみじるし)」を主宰し、演出でも活躍。テレビ朝日系「相棒」の三浦信輔役でも知られる。11月11日から東京・新国立劇場の舞台「桜の園」に出演。

     (2015年10月1日付読売新聞朝刊掲載)

    2015年10月05日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun