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    大学

    伝統校への挑戦状…志願者数日本一、近大の広報戦略

    教育ジャーナリスト 水崎真智子
     少子化で18歳人口が減少して「大学全入時代」になっている現在、優秀な入学者をどう確保するか、各大学とも知恵を絞っている。そんな中、完全養殖の「近大マグロ」など積極的な広報戦略で全国的な知名度をアップさせて、2015年春に2年連続で日本一の入学志願者数を記録したのが近畿大学(大阪府東大阪市)だ。関西圏や首都圏の伝統名門校の牙城を崩すため、近大がどのような手を打ってきたのか。一方で、挑戦を受ける形の伝統校や他大学はどのような対抗策を打っているのか。大学間の学生争奪戦の現状を、教育ジャーナリストの水崎真智子さんがリポートする。

    定員割れ4割強の厳しい世界…15万人が志願した大学

    • 東大阪キャンパスでは、約400億円を投じ2020年完成予定の大規模整備計画「超近大プロジェクト」が始動中だ
      東大阪キャンパスでは、約400億円を投じ2020年完成予定の大規模整備計画「超近大プロジェクト」が始動中だ

     止まらぬ少子化で人口が減り、厳しさが増す大学経営。15年に定員を充足できなかった大学は250校に上り、全体の4割強に及ぶ。

     15年の一般入試で10万人以上の志願者を集めたのは、3つの大学だった(大学通信調べ)。2年連続で1位の座を獲得した近畿大学は11万3704人、明治大学(東京都千代田区)が10万5702人、早稲田大学(東京都新宿区)が10万3494人と続く。

     近大は14年一般入試で、それまで4年連続で志願者数トップを記録していた明大を抜くと、15年には推薦入試を含む総志願者が15万5778人を記録。近大としての史上最高記録を2年連続で更新した。

     近大は大阪理工大学などを母体として、建学の精神に「実学教育」と「人格の陶冶」を掲げて昭和24年に設立。15年5月現在、医学部、法学部、農学部、文芸学部など13学部に学生約3万1000人が在籍する総合大学だ。

     来春には国際学部が加わって14学部となる。英語で論文を発表する理系・医学部の教授が多いことから、世界的に論文が引用される率が比較的高く、研究面では国際的な評価を得てきた。

    「早慶上理」「関関同立」…入れ替え戦のないリーグ戦

     だが、近大の取り組みについては、国内的にはそれほど注目されてきたわけではない。私立大に対する世間の評価は、以下の言葉でよく語られる。首都圏では現在、「早慶上理(早稲田大、慶応大、上智大、東京理科大)」グループを筆頭に、「GMARCH(学習院大、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)」「日東駒専(日本大、東洋大、駒沢大、専修大)」と続く。

     そして関西では「関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)」がトップグループで、そこに続く「産近甲龍(京都産業大、近畿大、甲南大、龍谷大)」に近大が入っているのだ。

     近大広報部長の世耕石弘(いしひろ)氏は、この状況は「入れ替え戦のないリーグ戦」だと指摘する。この「固定化したリーグ戦」の枠を壊して飛び出すため、近大は広報戦略に重点を置いている。偏差値や大学のランクでは測れない独自性を発信したいという。

    2015年11月11日 17時38分 Copyright © The Yomiuri Shimbun