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    学校 モノ・風景

    「協調性養う」海外も注目…大掃除

    読売新聞教育部 石井正博

     「年末は学校でも大掃除をするのが恒例。児童が総出で取りかかり、教室の窓は、ぬらした新聞紙で拭いていました」

     広島市の比治山ひじやま大の二宮あきら学長(70)が、小学校時代の思い出を語った。比較教育学が専門の二宮学長によると、児童生徒が自分たちで行う学校の掃除は、禅宗の寺で掃除が「心を磨く修行」の一つとされたことなどに由来する。江戸時代の寺子屋でも子どもが掃除を行い、明治以降の学校教育に受け継がれたという。

     二宮学長らが1970年代に世界の105の国・地域を対象に行った調査では、仏教の影響が強い東アジアなど36の国などで生徒が学校の掃除をしていたが、欧米や中東など61の国などは清掃員が掃除をしていた。

     日本では、職員室やプールの掃除は教職員が行うことが多いが、教室や廊下は、ほうき、ちり取り、雑巾などを使って児童生徒たちが掃除する習慣が定着している。集めたゴミは焼却炉で処分していたが、燃やした際に発生するダイオキシンの健康被害を防止するため、国は97年、学校での使用を中止した。

     学校の掃除は分担作業による協調性などを養う「特別活動」に位置づけられている。そんな日本式の学校の掃除を最近、海外で見習う動きも出てきた。

     サウジアラビアでは5年前から、小学校で教室の掃除を児童に指導する。エジプト政府の視察団は今年10月、東京の小学校の掃除風景を見学し、子どもの規律正しさやチームワークの良さに驚いていた。

     ただし、こうした掃除を家庭でする機会は減っている。家庭科に詳しい東京学芸大の大竹美登利教授(65)は「家庭で掃除機や使い捨ての掃除シートを使うようになり、学校の掃除で雑巾が絞れない、ほうきをきちんと使えない子どもが多くなった」と指摘する。清掃用具レンタル大手のダスキンには、子どもに掃除用具の使い方を教える出前授業や、若手教員に掃除の指導法を伝える講習会の依頼が増えているという。

     昔ながらの掃除の方法は、まず学校で学ぶ時代になりつつある。(石井正博)

     「学校 モノ・風景」では学校生活を彩るモノや行事を通し、教室や子どもの暮らしの変遷をたどります。今後「書き初め」「オルガン」などを取り上げる予定です。エピソードに氏名、連絡先を添え下記の宛先へお寄せ下さい。
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    2015年12月22日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun