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    子育て・生活・文化

    増加中? 社会人デビュー直前のひきこもり

    ニート・ひきこもりの子を持つ親の会「結」事業責任者兼相談員 蟇田(ひきた)薫
     子どもの社会人デビューも間近、もう子育ても終わった、一安心と思っていたら、就活、就職などでつまずいてしまったようだ、最近は自宅や自室にひきこもりがちで、どうしよう……と悩むことはないだろうか。親戚や知人には相談しにくく、多くの親が悩みを家庭内で抱え込みがちという。こうした状況に対しては、残念ながら、“万能薬”はない。でも、子どもとの向き合い方を少しずつ変えてみることはできる。多くの親たちの相談を受けてきた「ニート・ひきこもりの子を持つ親の会『結』」(※)相談員の 蟇田 ( ひきた ) 薫さんは「私も失敗を重ねてきました。でも、遅くない。今からでもできることを考えましょう」と話す。蟇田さんたちの経験からそのヒントを解説してもらおう。

     

    ※「ニート・ひきこもりの子を持つ親の会『結』」2009年から、約1000家族の相談を受けてきた。東京都立川市の認定NPO法人「育て上げネット」が運営。今秋には「結」メンバーが監修・協力し、上大岡トメさんのマンガで対策をわかりやすく紹介した『子どもがひきこもりになりかけたら』(KADOKAWA)も出版された。

    「子どもがひきこもりになりかけたら」…マンガで出版

     

    「母先攻 父後攻」、子育て後期支援最前線の現場から

     こんにちは、私たち「結」のメンバーは6年前から、お子さんがひきこもりやニートになったり、なりかけたりしている約1000のご家庭の相談に携わってきました。今回は、その経験の中から、何かのヒントになることをお伝えできればと思います。

     私たちは、子育て期を<1>誕生期(乳幼児期)、<2>教育期(小学校入学から高校卒業または大学卒業くらいまで)、<3>社会人デビュー期の3つに分けてとらえています。

     子育ての後期は、社会人デビュー期にあたり、今、この時期に壁にぶつかり相談に来るケースがとても増えています。その時に、両親の子育て協力スタイルで私たちがお勧めするのが、「母先(攻)父後(攻)」、これは、母が先に相談にやってきて、後から父が参戦するスタイル。この形が多くの成果を挙げていると、私たちは感じています。

     ふだん子どもに接することが多い母親が「先」とは「当たり前では?」と思われるかもしれませんが、こうしたひきこもり相談では、この原則を夫婦で念頭に置いていただくことがカギを握ると、現場の私たちは考えています。今回はその理由も合わせてご説明したいと思います。

    • 『子どもがひきこもりになりかけたら』より(以下同)©上大岡トメ/KADOKAWA
      『子どもがひきこもりになりかけたら』より(以下同)©上大岡トメ/KADOKAWA

    今、問われる「子育て第3期」…子どもが社会人デビューする時

     <1>誕生期から<2>教育期にかけては、父親は専ら仕事を充実させる時期と重なり、大半の家庭では、子育ては母親が中心となる傾向があります。共働きの場合も、妻(母親)が子育てを主に担う家庭が多いでしょう。そして、子どもが不登校になったり、学校を中退したりするなど想定外の事態が起きると、家族(両家の実家などを含む)は揺れ動いてしまいます。これはこれで対応が難しい事態ですが、子どもが高校卒業前後の18歳以下ならば、学校や塾、子ども家庭支援センター、児童相談所など相談できる機関が整備されています。大学生ならば、大学による学生生活支援も近年充実してきています。

     また、教育期では子どもが目標とすべきこともほぼ決まっています。彼ら彼女らの多くは、受験に励むことでしょう。偏差値などを参考にして目標校合格のための傾向と対策を練り、成績を上げるといった一定の道筋を歩みます。良くも悪くも、目指すべき方向がある程度準備されており、それに従って日々を過ごすことになるのです。

     ところが、<3>の社会人デビュー期となると、教育期までは整備されていた相談支援機関などに頼れなくなります。そんな時に、子どもがつまずいたらどうしますか?

    • ©上大岡トメ/KADOKAWA
      ©上大岡トメ/KADOKAWA

    2015年12月21日 09時30分 Copyright © The Yomiuri Shimbun