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    スクールデイズ

    価値観信じ打ち込む…横森美奈子さん

    聞き手・鳥越恭

    ファッションデザイナー

    • 林陽一撮影
      林陽一撮影

     東京都の新宿区立中学3年のとき、ラジオでビートルズの曲を初めて聴き、夢中になりました。

     歌詞の意味を辞書で調べたり、ビートルズのことが書かれた洋雑誌を読んだりして英語の勉強が好きになりましたね。絵を描くのも好きで美術も得意でした。でも、数学や理科には興味が持てず、先生に「もっと他の科目も勉強しろ」と注意されたものです。

     都立高校生だったときに、日本武道館でビートルズのコンサートがありました。「行くなら退学を覚悟しなさい」。担任の先生からは、そう言われました。私は先生の忠告を聞かず、コンサートに出かけました。実際には退学になりませんでしたが、今でこそ教科書にも登場するビートルズは当時、好きになるだけで「不良」のレッテルを貼られる存在だったのです。

     一方で、高校では一人だけ信頼できる先生がいました。在籍していた美術部の顧問の先生です。好きなことをさせてくれ、文化祭で、「でっかい絵を描け」などと言って、校舎の壁に飾る作品の制作を任せてくれました。

     3年になって、その先生に将来の進路について聞かれました。「イラストレーターになりたい」と答えると、「桑沢に行け」と言われました。「桑沢」は著名なデザイナーを輩出している「桑沢デザイン研究所」(渋谷区)のことです。「先生が言うなら」と試験を受け、進学しました。

     研究所では、グラフィックデザインを専攻しました。でも、卒業後に就職したデザイン事務所は2か月で辞めてしまい、ニットの製作などをするうちに、気が付いたらファッションデザイナーに。おしゃれに興味があって、中学の頃から自分の服を縫っていたことや、研究所で造形の基礎をきちんと学べたことが大きかったと思います。

     不良扱いされて悲観的だった時期もありますが、自分の価値観を信じ、興味のあることに打ち込んだのが、今につながっています。(聞き手・鳥越恭)

    プロフィル
    よこもり・みなこ
     1949年、東京生まれ。DCブランド「メルローズ」などのチーフデザイナーを歴任。テレビ通販向け商品のデザインや和装のアドバイスも行う。近著に「きものYOKOMORI流スタイル」など。

     (2015年12月24日付読売新聞朝刊掲載)

    2015年12月28日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun