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    子育て・生活・文化

    旅人は外国人ばかり~ニッポンの若者はどこに(下)

    旅行作家 荒木左地男
     減少傾向が続く若い旅行者。「深夜特急」に代表される旅文学のベストセラーが出なくなり、時間をかけて感動を味わう旅が姿を消しつつあることをリポートした前回に続き、ニッポンの若者の旅意識の変化を探る荒木さんの寄稿です。「ユースホステル」に代わって、台頭してきた「ゲストハウス」に象徴される、新たな旅のカタチとは?

    急増するゲストハウス

    • 東京・浅草のゲストハウス「カオサン東京オリガミ」のウエブサイトから
      東京・浅草のゲストハウス「カオサン東京オリガミ」のウエブサイトから

     ユースホステルに似た簡易な宿泊施設で、この5、6年全国にどんどん増えているのがゲストハウスだ。全国で600軒とも700軒ともいわれているが、実数が(つか)めないくらい、日に日にその数を増やしている。

     観光地京都は、ゲストハウスの激戦地で、100軒以上ひしめくが、まだまだ開設ラッシュが続いている。

     ゲストハウスと言っても迎賓館ではない。アジア各地にあるバックパッカー向けの宿の名称によく使われているもので、ドミトリーと呼ばれる二段ベッドを並べた相部屋や、簡素なベッドがあるだけの小さな個室などからなる簡易宿舎だ。宿泊料も相部屋なら平均3000円ほどで若い旅行者にも使いやすい。

    元バックパッカーのオーナーも

     国内にあるゲストハウスは元バックパッカーのオーナーが、世界を旅した経験から旅人が集う宿をつくって交流の場にしたいと考え、古民家等を改装して始めるケースが多い。ユースホステルと同じようにオーナーやスタッフはゲストへの旅のアドバイスをしたりしてフレンドリーな雰囲気を作っているが、ユースホステルとの違いは、オーナーやスタッフに若い人が多いこと。宿泊者にも若い人が多く、シニアの利用は少ない。

    • 倉敷のゲストハウス「有鄰庵」
      倉敷のゲストハウス「有鄰庵」

     宿泊者にとって、ユースホステルのペアレントが文字通り「親」のような存在だとするならば、ゲストハウスは「お兄さん」や「友だち」といったところだろう。

     ゲストハウスにはラウンジやカフェ、バーなどが併設されていることも多く、宿泊者同士やオーナー、スタッフとの交流がひとつの魅力ともなっている。

    ミーティングではなくパーティー

     宿泊者向けに様々なイベントを行っているゲストハウスも多い。ユースホステルのようなミーティングスタイルのイベントは少なく、宿泊者同士が自然に親しくなれるようなパーティースタイルで行うことが比較的多いようだ。

     以前宿泊した東京・下谷の「東京ゲストハウス toco.」では、少額の会費制でコロッケパーティが開かれた。外国人も交えた20人ほどでコロッケ生地を丸めて揚げる作業を一緒におこない、できあがった料理を一緒に食べる。自然に会話が生まれ、何人かの友達がすぐにできた。

     比較的、日本人旅行者が多く泊まる倉敷の美観地区にあるゲストハウス「有鄰庵」は、築100年の古民家の土間に樹齢900年という栃ノ木の1枚板のテーブルがあり、車座のように囲んで宿泊者が集っていた。

    • 倉敷のゲストハウス「有鄰庵」での鍋パーティーの様子
      倉敷のゲストハウス「有鄰庵」での鍋パーティーの様子

     オーナーの中村功芳さんは、若者の旅離れは感じていないという。「10年先の生き方のモデルになるような、ひとや暮らしを見る旅をしたい若者たちが増えていると思います。核家族やネットの時代が続き、人間関係が希薄ないま、ひとは宿に人情を求めて来ます。観光ではなく、暮らすような旅が体験できる、旅人と地元の住人が交流できる場所を若者と一緒に作ろうと思っています」

     有鄰庵は、ゲストハウスを開業したいという若者のための開業セミナーも行っている。ゲストハウス開業は、就職難のいま、若者たちのあこがれともなっているようだ。

     

    2016年02月09日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun