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    あの図書館よりユニーク?…身近な「非公立」図書館

    文芸評論家 友田健太郎
     皆さんは「図書館」と言われて、どんな場所を思い浮かべるだろうか。近所にある市立図書館、あるいは最近話題の「ツタヤ図書館」かもしれない。恐らくあなたが想像している図書館とは一味違った、ユニークな図書館が増えてきている。実は身近な場所にある「非公立」図書館について、文芸評論家の友田健太郎氏に紹介してもらった。

    図書館は公立だけじゃない

     公立図書館のあり方が問題になっている。2013年、佐賀県の武雄市図書館が、大手レンタルビデオチェーン、TSUTAYA(ツタヤ)を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を指定管理者とする、いわゆる「ツタヤ図書館」として改装された。この図書館は、書店やスターバックスの併設など斬新な試みで大きな話題を呼んだ。しかし、2015年10月に神奈川県海老名市立中央図書館が「ツタヤ図書館」になったころから、古い旅行ガイドや遠隔地のラーメン店ガイドなどが含まれる購入図書の選び方、タイトルだけを基準にした独自の本の分類法といった様々な問題が指摘されるようになった。

     一方、大手出版社の新潮社の佐藤隆信社長は昨年11月、図書館による本の貸し出しが本の売り上げに悪影響を与えていると発言。一部の新刊書について貸し出しの1年猶予を図書館に求めていく考えを明らかにした。出版不況が続く一方で、全国の公立図書館数と貸出冊数が増加傾向にあることが背景にある。このように最近、図書館のあり方が問われる機会が目立っている。

     人々が本に触れる場として、図書館の存在は大きい。その中心は言うまでもなく地方自治体の図書館だ。だが、図書館は公立に限らず、様々な形の「非公立」図書館も存在している。今回は一般の人が利用できる「非公立」図書館を取材し、私たちと本の関係について考えたい。

    「大宅壮一文庫」…苦戦する私立図書館の雄

    • 大宅壮一文庫(外観)
      大宅壮一文庫(外観)
    • 明治以来の貴重な雑誌が並ぶ大宅壮一文庫の地下書庫
      明治以来の貴重な雑誌が並ぶ大宅壮一文庫の地下書庫

     「雑誌の図書館」として知られる大宅壮一文庫(東京都世田谷区)(http://www.oya-bunko.or.jp/)は、日本を代表する「非公立」図書館の一つだ。明治から現在までの雑誌1万種類76万冊、現在刊行されている雑誌だけでも1000種類を収蔵している。「一億総白痴化」などの言葉を生んだ評論家・大宅壮一のコレクション20万冊をもとに、その遺志を継いで1971年に発足した。

     地下にまで及ぶ書庫の棚には、1887年(明治20年)に出版された雑誌『中央公論』の前身『反省会雑誌』など、膨大で貴重な資料が並び、壮観だ。年間10万人近い利用者の多くは編集者、テレビ番組制作者、雑誌やテレビのためのリサーチャーなどで、日本の雑誌やテレビ番組の企画を支える施設である。私が訪ねた土曜日の午前中も、1階の検索コーナーでは検索機に向かう利用者の姿があった。

     大宅壮一文庫は公益財団法人で、発足以来、利用する法人や個人の会費、入館料や様々なサービスの利用料で財政を賄ってきた。1997年には埼玉県越生町に分館を開くなど、財政的余裕もあった。

     ところが2000年前後をピークに、徐々に収支は悪化。平成26年度(2014年度)は前年より経常収益が1700万円余り減少し、4000万円を超える経常赤字を記録した。原因は利用者の減少だ。

     平成26年度には前年度比で約3500人減少。雑誌の利用冊数、複写枚数もそれぞれ約1割減と大幅に落ち込んだ。近年、インターネットの普及の影響などで雑誌の出版点数が減少している。また、テレビの広告収入の落ち込みで番組の制作費も削減されている影響もあると思われる。「以前は4月になるとベテランの編集者やリサーチャーが新人を連れてきて、大宅文庫の利用法を説明している姿がよく見られたのですが、最近は少なくなりました」(同文庫の黒沢岳さん)

     大宅文庫ではコスト削減による収支の改善に取り組むとともに、ネットサービスの一層の拡充や大学関係者やアイドルファン、オタクなど新たな利用者の開拓にも力を入れようとしている。

    2016年03月22日 09時35分 Copyright © The Yomiuri Shimbun