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    スクールデイズ

    可能性の芽伸ばしてくれた…澤田かおりさん

    聞き手・広中正則

    シンガー・ソングライター

    • 澤田かおりさん(工藤菜穂撮影)
      澤田かおりさん(工藤菜穂撮影)

     東京都武蔵野市の私立成蹊小学校1、2年生の時、担任だった酒井務先生から日記指導を受けたことが心に残っています。クラスの全員に一日の出来事をノートに書かせ、赤ペンで感想を書いて返してくれました。

     どんな内容を書いても真正面から向き合ってくれる先生で、例えば、私が忠犬ハチ公をテーマにした映画を見た時、「悲しみで涙が止まらなかった」とつづると、先生は「思いをかなえられずに死んでいく生き物のつらさをわかってほしかった」と書いてくれました。

     先生はクラスの一人ひとりの違いを認め、その可能性の芽を伸ばそうとする考えを持っていたのだと思います。

     私は3歳からピアノを習っていました。小学校時代は放課後にピアノ教室に通うので、級友と遊ぶ機会があまりありませんでした。でも、先生のクラスだったから孤立することもなく、ピアノを続け、感じたことをお絵描きするように曲にして弾くこともできました。

     成蹊中学3年生の夏休み、英国のサマースクールに参加しました。様々な国から集まった子たちが、ギターを弾いたり絵を描いたりしていて、やりたいことを明確に持っていると感じました。「私がやりたいことって何だろう」と考えた時、浮かんだのはずっと続けてきた音楽でした。

     中学卒業後、調布市の桐朋女子高校音楽科に進学し、一般にはなじみのない前衛音楽の作曲などを勉強しました。でも、「誰もが聞いて楽しめる音楽をやりたい」という思いが強くなり、卒業後はアメリカに留学し、ボストンのバークリー音楽院などでポピュラー音楽の作曲を学びました。

     帰国後、井上陽水さんやMISIA(ミーシャ)さんのバックコーラスを務めたり、CM曲を作ったりと経験を積んで私も歌手になりました。

     音楽の世界で表舞台に立ちたいと一歩を踏み出せたのは、小さい頃からの積み重ねが大きかったと思います。ほかの人と違っていてもいい。小さい頃からそう思える環境で過ごせたことに感謝しています。(聞き手・広中正則)

    プロフィル
    さわだ・かおり
     1985年、米シアトルに生まれ、東京で育つ。高校卒業後、米国留学中に作曲活動を開始、帰国後はユニクロや東芝LED電球などのCM音楽を多数手がける。昨年11月に初のアルバム「Songwriter(ソングライター)」を発表。来月、東京と大阪でライブを予定。

    (2016年3月3日付読売新聞朝刊掲載)

    2016年03月07日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun