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    学校 モノ・風景

    明治期は薄い石の板…ノート

    読売新聞教育部 名倉透浩

     「宿題をがんばったしるしに、漢字や計算式で埋まったノートに先生がシールを貼ってくれました」。千葉市の川向恵美さん(43)が、小学校時代の思い出をメールで寄せてくれた。

     鉛筆などで紙に書く今のノートが学校に普及したのは、昭和初期の1920年代後半だが、明治期は、「石」がノート代わりだった。

     京都市学校歴史博物館の和崎光太郎学芸員によると、小学校などでは薄い粘板岩(スレート)に木の枠をつけた「石盤」に、ろう石を加工した「石筆」で文字を書いた。布などでふくと消えて何度も書く練習ができ、筆と墨で半紙に書くより効率が良かった。厚紙にスレートを貼るなどして軽量化した「紙製石盤」も登場した。

     一方、紙のノートは明治末期、「丸善」の文具カタログに、現在の大学ノートとほぼ同じ商品が紹介され、学校でも使われ始めていたと見られる。

     文具メーカーのコクヨによると、ノートは戦後の高度成長期にデザインの工夫や高級化が進み、表紙に色が付いたものやレザー調のものなども販売されるようになった。ショウワノートが70年に発売した「ジャポニカ学習帳」は、イラストが主流だった表紙に花や昆虫の写真を採用して人気となった。紙質などに高級感があり、「子どもにいいものを持たせたい」という保護者の目も引いた。

     コクヨによると、最近はプリントを貼れる大きいサイズや、字や図形が書きやすいよう、けい線に等間隔のドット(点)を打ったノートなどが人気だ。

     使い方も変わってきた。ベネッセ教育総合研究所が昨年、小中高校生約9700人に聞いた調査では、宿題に特定の課題を与えず、学習内容を自由に選んでノートにまとめてもらう「自学ノート」が広がっている。

     東京都足立区立千寿小学校では、5年生が興味のある歴史の本を読んだり、塾で習ったりした内容などを毎日ノート2ページ分に書いて提出している。田村正弘校長は「ノートに書くことで考えが整理され学んだことが身に付きやすい」と話した。(名倉透浩)

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    2016年03月22日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun