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    子育て・生活・文化

    奨学金で老後破産しないために…5ステップでメンテナンス

    ファイナンシャルプランナー 菅原直子

     大学入学時、教育資金が足りずに奨学金を借りた結果、卒業後に返済に苦しめられる問題が目立つ。返済の肩代わりで親の老後資金や生活費が圧迫され、「親子共倒れ」ということもありうる。
     前回の「 奨学金頼みで老後破産?…我が家の学費計画 」では、計画的に教育資金を ( ) める方法について、ファイナンシャルプランナーの菅原直子さんに解説してもらった。しかし、間に合わなかった人でもまだやれることがあるという。それが「奨学金のメンテナンス」だ。わが子に借金を背負わせず、自身の生活も守るための方法を菅原さんに寄稿してもらった。

    給付型奨学金創設に期待…貧困の連鎖を教育で断ち切れ

    • 大学進学時、学生の大きな支えになるのが奨学金だ(画像はイメージ)
      大学進学時、学生の大きな支えになるのが奨学金だ(画像はイメージ)

     昨今、学生への経済支援が注目されている。以前は奨学金の返還に苦しむ若者に対し、「借りたものは返せ」という非難が多かった。しかし最近は、返還できない理由自体の解決を図ろうとする動きが加速しているように見えて心強い。

     財源の問題はあるとはいえ、国が検討している給付型奨学金創設への期待は大きい。若者が社会の入り口で借金を背負わなくても済むのだから。

     一方、奨学金の返還を促すためなのか、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は大学別の返還率を公表するらしい。返還が滞っているのはすでに卒業した者であって、今さら大学側が滞納者にアプローチするすべはないはずだ。本来、貸し手に説明責任があるはずなのに、その責任を転嫁しているようにも見え、大学名の公表には疑問が残る。高校3年生で奨学金を予約する学生も多く、大学名公表の先には高校名の公表もあるのではと心配だ。

     学校名の公表よりも、奨学金を利用してでも進学をして教育を受けることのメリットについて、広くコンセンサスを得られるよう願いたい。

    貸与型奨学金は、現時点での現実的な手段

     とはいえ、今後の施策に期待はしても、今の高校3年生には間に合わない。進学資金が不足している高校生と保護者は、すでに存在している方法を利用するしかないだろう。学生自身が利用できるのが、奨学金制度である。

     奨学金には、返済の必要がない「給付型」と返済の必要がある「貸与型」がある。JASSOが3月に発表した「学生生活調査」(有効回答数=4万5577人)によると、2014年度(平成26年度)に何らかの奨学金を受給していた大学生は51.3%に上る。およそ大学生の半数が奨学金を受け取っていると言える。

     貸与型の多くはJASSOが占めている。JASSO奨学生(奨学金を受給している人)となっている大学生の割合は00年度から14年度までの14年間で2.3倍となった。14年度は全大学生・短大生の38.75%、2.6人に1人が利用している。

    • 「学校基本調査(文部科学省)」「事業報告書(JASSO)」を基に菅原氏作成
      「学校基本調査(文部科学省)」「事業報告書(JASSO)」を基に菅原氏作成

     これだけJASSOが利用される理由としては、入学前に予約できる安心感がある。

     入学前に支払う受験料や入学手続き費用で保護者の財布が底をついてしまった場合、入学はできても学業の継続は困難になる。入学前予約が可能な給付型奨学金制度を持つ大学も見受けられるが、まだ少ないのが現状だ。入学前に受給が約束されるJASSOの役割は大きい。

    • 「平成25年度奨学金事業に関する実態調査報告(JASSO)」より菅原氏作成
      「平成25年度奨学金事業に関する実態調査報告(JASSO)」より菅原氏作成

     返済の必要がない「給付型」を利用できればよいのだが、現実はそう甘くない。上のデータと調査年度は違うが、2013年度(平成25年度)では、大学生・短期大学生の奨学金受給者の92.2%が貸与型だ。給付型がいかに「狭き門」で、貸与型に頼らざるを得ないか、ご理解いただけるだろう。

    5ステップで「奨学金貧乏」を回避しよう

     奨学金を利用するにあたり、まず意識してもらいたいことがある。それは、貸与型の奨学金は「借金」だということだ。

     奨学金の利用額の決め方がわからず、ゆとりをもった金額を借りておこうと考える家庭は多い。日々の支払いを滞らせないようにしておきたいという気持ちは理解できる。しかし、大学を卒業した時、わが子が就職できるかどうか、就職できたとして、奨学金を返還できるだけの収入を得られるかどうか、まだわからないのだ。この段階で、多めに借りることはおすすめできない。借金が増えれば、返済に苦しむことになりかねないからだ。

     では、借りる金額を必要最小限にとどめるためにはどうしたらいいのか。高校3年生の子どもを持つ家庭を例に挙げ、奨学金を借りてから返すまでに意識したいポイントを、次の時期ごとに分けて考えてみたい。

      1.申し込み前

      2.貸与開始前

      3.受給中

      4.卒業~返還開始

      5.返還開始後

    2016年05月10日 09時28分 Copyright © The Yomiuri Shimbun