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    奨学金で老後破産しないために…5ステップでメンテナンス

    ファイナンシャルプランナー 菅原直子

    【ステップ4】卒業~返還開始:卒業から6か月の生活がカギ

    • 社会人は出費も多い(画像はイメージ)
      社会人は出費も多い(画像はイメージ)

     奨学金の返還は卒業して半年が経過した10月から。4~9月は、奨学金の返還がないので財布にゆとりがある。ゆとりに慣れてしまうと10月からがつらいので、最初から返還をしているものと仮定してやりくりをするといい。つまり、月額給与の手取りが17万円、奨学金の返還が2万円なら、4月から15万円の範囲で貯蓄と生活費をまかなうのだ。4~9月は2万円分多く貯蓄ができる。

     Aさんは、実家から通える会社に就職できた。親の理解のもと、家に入れるお金は食費と通信費として3万円のみにしてもらい、毎月7万円を貯蓄に回すことにした。ボーナスには頼らず、毎月の給料で計画的に貯蓄し、奨学金の繰り上げ返済をしようと考えている。将来は、車や住宅を購入したいので、まずは、借金を返済することが大事と理解しているからだ。
     Aさんの貸与総額は282万円だった。途中でコースを変更したことで、4年間ずっと8万円を借りた場合よりも100万円減額することができた。その結果、返済年数も20年から16年に短縮され、毎月の返済は1万5000円ほどとなった。
     財布にゆとりがある4月からの半年は、通常の7万円に2万円を足した9万円を貯蓄する目標を立てた。実際には、世話になった両親と祖父母に初任給でプレゼントをしたり、その後も会社に着ていく服を買ったりと、目標を100%達成できた月は少なかった。しかし、無駄遣いしないことを心がけたことで、半年後からの生活では、うまく貯蓄ができるようになった。

    【ステップ5】返還開始後:返還開始から返還終了(最長20年間)まで…返還が難しい場合も方法が

     奨学金をきちんと返還するつもりがあっても、人生は山あり谷あり。やむを得ない突然の出費が続いたり、病気になって休職したりといったこともあるだろう。生まれた子どもを保育園に預けられずに仕事を辞めざるを得ないこともある。

     どうしても返還が難しい場合は、返還を待ってもらったり、1か月あたりの返還額を減らしたりする手続きを行おう。返還を滞らせたまま知らんぷりをすると、いわゆる「与信情報」にキズが付く。信用を失い、クレジットカードが使えなくなったり、自動車の分割払いができなくなったり、住宅ローンが組めなくなったりするなど、実生活に影響が及んでくるのだ。

    返済の肩代わりは、老後破産の要因にも

     子どもが借りた奨学金は子ども自身が返済する仕組みだが、時に親が返済の肩代わりをすることもある。

     親が奨学金の連帯保証人になると子どもと同じ責任を負うが、そうでない場合も子どもが返済で苦しんでいれば、親の気持ちとして援助してやりたくもなる。

    • 親の年齢と子のイベント(菅原氏作成)
      親の年齢と子のイベント(菅原氏作成)

     上記は、JASSOの最長20年間の返済年月を表している。親が25歳時に生まれた子は、親が44歳時に大学に入学する(赤い枠)。大学時代、子どもの教育費に預貯金をすべて使い切ったとしても、自身の老後生活費を貯める時間は10年以上ある。

     一方、35歳時の誕生だと子どもの大学卒業は親が57歳の時。学費負担を終えてから老後生活費を貯める時間的余裕はほとんどなく、教育費を負担する時期と親の老後生活費の準備が重なる。それでも、子ども自身が奨学金の返済をきっちり行うのであれば、老後生活費は何とかなるだろう。それが45歳時の誕生なら、子の卒業時には定年退職後だ。教育費を負担することは、即自身の生活費を圧迫する。

     もし、返済5年目から3年間(青い枠)奨学金の返済を援助するとどうなるか。第一種で3万円を4年間借りると、青枠3年間の返済分は約33万円。第二種12万円で3%の利率だと約116万円になる。奨学金を考えなしに多めに借りてしまう危険性がわかってもらえると思う。

     収入は限られているのだから、教育費に多くを使ってしまうと老後資金が不足する。親の老後破産を防ぐためにも、貸与型奨学金の額をできるだけ減らす教育資金プランを実行することが重要になる。

     

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    プロフィル
    菅原直子( すがわら・なおこ
     教育資金コンサルタント。外資系生保を経て1997年よりファイナンシャルプランナー。高校生と保護者向けの進学資金・ライフプラン講座を中心に個人相談も行う。時間を味方につけられるよう、出産前後~小学生保護者向けのお金まわり講座に注力中。

    2016年05月10日 09時28分 Copyright © The Yomiuri Shimbun