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    学校 モノ・風景

    壁掛け型など多様に…百葉箱

    読売新聞教育部 飯田達人

     「小学校高学年のころ、クラスの2人ずつが毎日交代で百葉箱を見に行き、気温などを記録していました。あの白い箱が懐かしい」。埼玉県行田市の川辺和子さん(55)が、百葉箱の思い出をファクスで寄せてくれた。

     百葉箱が学校に設置されたのは1950年代の半ばごろから。小中学校などの理科の授業で必要な設備に国が補助金を出すようになった。白い板のよろい戸で四方を囲み通風をよくした箱で、地面から約1・5メートルの高さに温度計などの機器が置けるよう脚が付いている。

     東京都の筑波大付属中学校の元副校長、畑中忠雄さん(84)は62年から92年まで、同校の天文研究会の生徒たちに百葉箱での気温、湿度、気圧の観測を指導した。日光の照り返しが少ないよう、正門近くの芝生の上に立つ百葉箱は、「目に付きやすく親しまれていた」と振り返る。研究会のメンバーによる観測は今も続くという。

     百葉箱は多くの学校で導入されたが、理科教育の時間が減った70年代半ば以降、出番が少なくなった。東京都環境局の山口隆子さん(43)が、2004年に都内の公立小を対象に行った調査では、回答があった32校のうち、百葉箱で気象観測を行っていたのは2校だけだった。

     しかし、国が09年と12年に理科教育の設備費を増額したのを機に、老朽化した百葉箱の更新が進んだ。

     最近は様々な百葉箱が登場している。測定機器メーカー「計測技研」(栃木)は、東日本大震災後、空間の放射線量を測れる百葉箱を開発、現在、栃木県内の11の小中学校が導入する。

     全国の小中学校に百葉箱を販売する「内田洋行」(東京)は、敷地の狭い学校などのために、壁掛け型の百葉箱を3年前に発売。今春設置した神奈川県大和市立上和田小学校では、4年生が気温を観測し変化をグラフにまとめる授業などで活用する。理科の専科教員の中山光顕みつあきさん(66)は「地球温暖化などをテーマにした環境教育への関心が高まっており、目に見える形で温度とは何かを実感してほしい」と話していた。(飯田達人)

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    2016年05月24日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun