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    子育て・生活・文化

    子どもの防犯レベルを上げるために…親が知っておきたい指導法

    ALSOK広報部 広報第一課課長・新屋盛久
     子どもを狙った連れ回しや誘拐などの犯罪があとをたたない。「知らない人に声をかけられてもついて行っちゃダメ!」と、子どもに口をすっぱくして言い聞かせる以外に、子どもの安全を守る方法はあるのだろうか。小学校向けの防犯出前教室「あんしん教室」を行っている、セキュリティーサービス会社「ALSOK」広報部広報第一課長・新屋盛久さんが、親が犯罪から子どもを守る指導方法を指南する。

    防犯教育の定番「いかのおすし」に付け加えたいトッピング

    • 警視庁が考案した防犯覚え言葉「いかのおすし」(画像はイメージ)
      警視庁が考案した防犯覚え言葉「いかのおすし」(画像はイメージ)

     講師:「今日は“いかのおすし”のお勉強をしたいと思います。でも、残念ながら食べる“いかのおすし”ではありません。」

     児童:「えー!?」

     これは、小学校向け防犯出前授業「ALSOKあんしん教室」でのやりとりです。2004年に活動を開始してから10年以上が()ちますが、ここ数年、このやりとりにおける児童の反応が少し変わってきました。

     児童:「“いかのおすし”知ってるよ!いかない、のらない……」

     「いかのおすし」は、連れ去り被害に遭わないための合言葉として、警視庁が考案した防犯覚え言葉です。


    いか ……知らない人について「 いか 」ない
    ……知らない人の車には「 」らない
    ……連れて行かれそうになったら「 」おごえを出す
    ……危険を感じたら「 」ぐにげる
    ……危ない目に遭ったらすぐに大人に「 」らせる

    • 小学校向け防犯出前授業「ALSOKあんしん教室」
      小学校向け防犯出前授業「ALSOKあんしん教室」

     主要な約束事が子どもにわかりやすい言葉で端的にまとめられたこの「いかのおすし」は、子どもの防犯教育の定番として広く普及し、現在では多くの家庭や小学校でこの言葉を用いて指導が行われているようです。長年にわたって様々な小学校の教壇に立っているALSOKの講師たちも、この言葉を知る児童の割合が年々増えてきていると感じています。

     では、「いかのおすし」の普及とともに、子どもたちの防犯リテラシーも向上しているのでしょうか。

     授業では「いかのおすし」の五つの約束をそれぞれ掘り下げて児童たちに質問したり、不審者から声かけに遭う疑似体験をしてもらったりしているのですが、これらに対する児童たちの反応を見る限りでは、防犯についてのリテラシーが高まっているとは必ずしも言えないのが実情です。「いかのおすし」を知っているという児童の多くは、覚えやすいように要約された合言葉の表層部分を覚えているだけで、連れ去りの具体的な手口やその対処方法といった、被害防止を図るうえで重要な本質的なことが十分にイメージできていないように思えます。

     そこで、「いかのおすし」を学んだ子が陥りがちな思考パターンや、教える際にはどのようなフォローが必要なのかを、授業での実例を交えながらいくつか紹介していきます。

    子どもにとっての「知らない人」を知らない大人

     「いかのおすし」の合言葉には、「知らない人」に注意するようにとあります。当然、子どもに積極的に接触しようとしてくる素性の分からない人は警戒するべきでしょう。しかし、授業で子どもたちにどのような人を「知らない人」と認識しているのか質問してみると、公園でよく見かける程度の人や、見覚えはないが自分の名前や家族の情報について知っている他人を「知っている人=ついていってもいい人」に分類してしまっている子が少なくありません。

     このように、子どもが認識している「ついていってはいけない人」は、親の考えている「ついていってはいけない人」と異なっている場合があります。「知らない人」、すなわち「ついていってはいけない人」に対する認識のギャップがないかどうか、しっかり子どもと話し合って確認するようにしましょう。

     2014年3月に埼玉県朝霞市で女子中学生が連れ去られた事件は、被害者が犯人にフルネームで呼びかけられ、家族に関する具体的な話題で誘われたことで、本来なら「知らない人」に対して抱くはずの警戒心を緩めてしまったために起こった事例であると考えられます。子どもの所有物に書かれた名前、家の表札、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)など、悪意のある人はあらゆるところから標的の情報を得ようとしてきます。リスクを減らすためにも、不特定多数の人に子どもの氏名や家族に関する情報が知られることがないよう注意しましょう。

     

     

    2016年06月08日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun