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    子育て・生活・文化

    共働き夫婦「うちは大丈夫!」の落とし穴

    ファイナンシャルプランナー 當舎緑
     財布が二つある共働き。収入が多い分、それぞれの稼ぎをお互いが好きに使うなど、財産管理が甘くなりがちな面もある。子ども2人を中学から私立に行かせた結果、大学進学を前に教育費が足りないおそれが出てくる家庭も少なくないという。共働き世帯が教育費を貯蓄する上でのポイントを、ファイナンシャルプランナーの當舎緑さんに解説してもらった。

    夫婦共働きでも苦しい家計

    • 共働きでも家計が厳しいのはなぜ?(写真はイメージ)
      共働きでも家計が厳しいのはなぜ?(写真はイメージ)

     女性の就業率はいわゆるM字カーブが多いと言われている。結婚して子どもができるといったん仕事を辞め、子どもが少し大きくなると働き出すというライフプランだ。家計診断をするときに、「専業主婦の妻は子どもが一定の年齢になると働く」という要素を入れて家計のキャッシュフローを作ると、その後の家計が断然楽になる。家計の見直しの際、赤字対策としてよくお薦めしている方法ではある。

     ところが、共働きであっても家計は楽ではないというご夫婦にお会いすることがある。1組や2組ではない。なぜなのか。

    ゼロからでなくマイナスからのスタートをしているケース

     夫婦どちらもが自らの奨学金返済中というAさん夫妻が家計診断に訪れた。共働きなのに全く預金ができていない。子どもの学費のために貯蓄もしたいし、これから住宅も購入したいという気持ちはあるものの、全く対策をしていない。まずは教育費を()めたいというご相談だった。

     現在2人とも30歳で、子どもは3歳と5歳。奥さんが150万円、夫が450万円の年間収入がある。

     家計の財布は別々で、家賃と子どもの保育料は夫、水道光熱費は妻。食費や消耗品はそれぞれレシートを出して分担しているが、負担があいまいな項目もあり、全体としてどちらが管理するという方針はないという。また、携帯代などの通信費用はそれぞれが支払っている。児童手当は夫の口座に入金され、そのまま何もせず入れたままとなっているので、使っていることもあるかもしれないとのこと。

     更に、これまでの家計をヒアリングすると、妻が再び働き出したのは2人目の子どもが1歳になった時。1人目の子どもを妊娠したとき、妻が退職して、夫の給料で2人分の奨学金を返済していたのだ。

     たとえ妻に収入が無くても、大黒柱に収入があるので「奨学金を返さない」という選択肢はあり得ない。もし何の手続きもせず、奨学金を3か月以上延滞すると、個人信用情報の取扱機関に登録される。その結果、クレジットカードが発行されない、ネットショッピングや自動車ローン、住宅ローンを満足に組めないなど、生活に支障をきたすこともあり得る。

    • 表1 Aさん夫妻の奨学金(日本学生支援機構の奨学金返済シミュレーションを基に當舎さん作成)
      表1 Aさん夫妻の奨学金(日本学生支援機構の奨学金返済シミュレーションを基に當舎さん作成)
    • 表2 大学生の年間生活費用(単位:円、日本学生支援機構平成26年度「学生生活調査」より當舎さん作成)
      表2 大学生の年間生活費用(単位:円、日本学生支援機構平成26年度「学生生活調査」より當舎さん作成)

     夫婦それぞれの奨学金は表1のようになっている。現時点で、妻は4年、夫は7年の返済が残っていることとなる。

     大学生の学費等・生活費は、表2の学生生活調査からわかるように、一番少なく済む「自宅通学の国公立の学生」でも月に9万1608円、平均でも15万5175円が支出されている。全額家計から出すのが困難な家庭も多い中、2人が借りている金額は決して多すぎるわけではないことがわかるだろう。

     Aさん夫妻の場合、いずれも学生時代にアルバイト代が5万円程度あったため、奨学金の額がこの程度に収まっている。もし理系などの忙しい学部であまりアルバイトができない場合には、奨学金の総額がもっと膨れ上がっていた可能性もある。奨学金を借りる場合にはできるだけ最少の金額に、そしてできるだけ早め早めに返すこと、しかも結婚前に完済しておくことが理想的であろう。

    2016年07月07日 11時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun