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    学校 モノ・風景

    夏休みの思い出ずっと…絵日記

    読売新聞教育部 伊藤史彦

     「見返すたび、苦しかった時代のことがよみがえります。私の代わりに、絵日記が証言し続けてくれればと思います」

     川崎市の前田徳子さん(81)は、東京女子高等師範学校付属国民学校(現お茶の水女子大学付属小学校)時代の6年間に描いた絵日記帳を約40冊、今も大切にしている。ノートにクレヨンと鉛筆で、開戦を伝えるラジオ放送に聞き入る同級生や疎開先での暮らしを描いた。同校の卒業生たちは、国立国会図書館に絵日記のコピーなどを「第二次世界大戦学童疎開記録集」として寄贈した。

     大津市歴史博物館でも、瀬田国民学校(現大津市立瀬田小学校)の児童7人が1944~45年に描いた絵日記197枚を保管。出征兵を万歳で見送る子どもや防空演習が記されている。

     教育史研究者の唐沢富太郎・東京教育大学名誉教授(故人)の67年の著書「図説 近代百年の教育」によると、学校教育に絵日記が取り入れられたのは大正時代。「教科書だけの知識教育にかわって、生活経験を重視した新しい教育観が生まれ、夏休みの絵日記が広まった」としている。

     戦後は、絵日記帳としてスケッチブックなどが使われるようになり、専用のノートも出回った。ショウワノート(富山県)は73年、絵を描きやすいようにと、画用紙に近い紙質の絵日記帳を発売した。

     ベネッセ教育総合研究所(東京都)の2009年の調査では、9割以上の小学校が絵日記を1年生の夏休みの宿題にしていた。毎日ではなく、夏休みの思い出を2、3枚描いて提出させることが多いようだ。お茶の水女子大学付属小学校の片山守道教諭(53)は「何を描けばいいのか」と悩む子に、「日常で感じた驚きや感動、発見を見つめ直す。体験活動や観察に取り組み、親子で会話する」と助言する。

     2014年に開校した江戸川学園取手小学校(茨城県)では、全児童に週に1度、心に残った出来事を描いた「絵だより」を提出させている。若林富男校長(63)は「楽しみながら自分の考えをまとめ、発信する力や表現力が養える」と話す。(伊藤史彦)

     「学校 モノ・風景」では学校生活を彩るモノや行事を通し、教室や子どもの暮らしの変遷をたどります。今後「自由研究」「飼育係」などを取り上げます。エピソードに氏名、連絡先を添え下記の宛先へお寄せ下さい。
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    2016年07月26日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun