情報化進み題材豊富に…自由研究
「小学4年の夏休み、酒屋さんに聞いたり、本で調べたりしてビールがどうやって造られるのかノートにまとめました。新しい発見があって面白かった」
横浜市の平野
自由研究は、19世紀末以降に欧米の学校で広まり、日本では大正期に盛んになった自由教育の一環で行われた。教師や教科書を中心とする教育に対し、子どもの個性や興味を重視し、自発的な活動を促す教育で、師範学校付属小学校や私立学校で実践された。この流れをくむ成城学園高校(東京)では今も2、3年生の選択科目として、各自がテーマを決め、1年を通じて取り組んでいる。
自由研究は1931年の改正で中学校令施行規則に盛り込まれ、戦後の47年の学習指導要領では正式に教科となった。その後、数年で廃止されたものの、「探求心を育む趣旨は学校現場で受け継がれ、夏休みの自主学習として定着したようだ」と北海道教育大の安藤秀俊教授(理科教育学)は話す。
東京都世田谷区の元小学校教諭・蔵元和子さん(74)は山形県の中学2年の夏休み、アリが土の中に作る巣が、なぜ土の重みで潰れないか研究し、県のコンクールで受賞した。教員時代は教え子に好きなテーマで自作の本にまとめるよう指導。当時は、猫の観察や地域の川の源流をたどるといった身近な題材が多かった。今は全国コンクールの審査員を務め、「昔に比べて情報量が多く、題材も増えた。内容も充実している」と話す。
最近は自由研究を手伝う親も多く、日本能率協会(東京)が今年6月、小学生の親2000人に行った調査では、子どもとテーマを話し合う親が8割を超えた。7月下旬、東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた同協会の自由研究の講座には、3日間で親子計2万1180人が参加。洗剤の働きを実験で学んだ千葉県市川市の小学5年小沢
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