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    学校 モノ・風景

    親身に世話苦労と愛情…飼育係

    読売新聞教育部 広中正則

     「リンゴ箱を本棚のように積み上げ、その中でウサギを飼いました。抱いてかわいがったものです」。戦時中、長野県豊平村(現茅野市)の国民学校に通った山田卓三さん(83)が、飼育係をしたときの思い出だ。

     級友と交代で家からカボチャやニンジンの残りを持ち寄ったり、野草を摘んだりして、せっせと20~30匹のウサギに与えた。だが、物のない時代。防寒着に使う毛皮を取るため、育てたウサギは業者に引き渡されたという。「愛着があったから泣き出す子もいました」と山田さんは振り返る。

     東京未来大の鈴木哲也准教授(理科教育)によると、小学校で動物の飼育が始まったのは明治の終わり頃。残り野菜といった餌を用意しやすいウサギや鶏が動物の習性などを学ぶ教材となり、子どもに餌やりや飼育舎の掃除をさせる学校が増えた。

     戦後も、ウサギや鶏のほか、金魚やメダカ、インコなどを飼育する学校は少なくなかった。東京都の元小学校校長で、1960~70年代に飼育係を指導した中牧修さん(83)は「子ども任せにできず、夏休みや年末年始も時々、飼育舎をのぞいた」とファクスを送ってくれた。

     首都大学東京の鳩貝太郎客員教授らが2003年、全国の小学校約870校に実施した調査では、ウサギは約8割、鶏は7割弱の学校で飼っていた。しかし、鳥インフルエンザが問題になった04年以降、鶏は激減し、ウサギも減少傾向という。

     今春、宮崎市フェニックス自然動物園の獣医師になった宮田真希子さん(24)は調査があった頃、都内の小学校で飼育係だった。世話したウサギなどが死んでしまったことを悔い、「動物を守りたい」と獣医師を志した。

     最近目立つのは、獣医師のアドバイスを受けながら学級単位で小動物を飼うケースだ。筑波大付属小学校(東京都文京区)の6年2組では、モルモット2匹をケージに入れて教室で飼い、週末や夏休みには児童が交代で家に持ち帰っている。担任の鷲見すみ辰美教諭(51)は「鳴き声や動きを観察し、動物の身になって世話をすれば苦労する。だから愛情も湧く」と笑顔を見せた。(広中正則)

     「学校 モノ・風景」では学校生活を彩るモノや行事を通し、教室や子どもの暮らしの変遷をたどります。今後「学級委員」「理科室」などを取り上げます。エピソードに氏名、連絡先を添え下記の宛先へお寄せ下さい。
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    2016年08月23日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun