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    学校 モノ・風景

    役割変えるリーダー像…学級委員

    読売新聞教育部 山田睦子

     「全校朝礼で整列する時、クラスの先頭に立って列の乱れを注意したり、運動会の行進で列の先頭を歩いたりしました」

     大阪府立大学名誉教授の多幡達夫さん(81)は戦時中、石川県七尾市の国民学校に通っていた1~3年時、担任の教師に指名され、級長を務めた。「冬は腕章、夏はシャツのポケットにつける布の級長章が支給されました。子どもながらに誇らしい気持ちでした」と思い起こす。

     原田彰・広島大名誉教授(79)(教育社会学)によると、戦前の級長は、成績優秀で統率力があり、親が有力者である子どもを担任が指名し、教師の代理のような役割を担わせた。

     戦後は一転、民主的な学級経営が求められるようになり、選挙や話し合いなどを通じて、子ども同士で選ぶようになった。呼び名も、多くの学校で「学級委員」「学級委員長」「委員」などに改められた。

     さいたま市に住む秋山和市さん(67)は、小学校で「委員」に任命された時の辞令のコピーを封書で送ってくれた。半年に一度、子どもたちが自分たちで選び、教室で担任が辞令を手渡したという。秋山さんは「学級会の司会や朝礼の整列などの仕事があった。クラスを代表して叱られることが多く、得な役回りではなかった」と振り返る。

     1990年代頃からは「クラスのリーダー的存在」の学級委員長や学級委員が姿を消し始めた地域もある。「選挙が単なる人気投票になった」「投票結果で順番をつけるのは教育的ではない」などが理由のようだ。

     今は、始業・終業時の号令や学級会の司会は持ち回りで当番などが行うようになり、特定の子どもが常にリーダーを務める状況は少なくなっている。

     東京都青梅市立第三小学校でも学級委員長は置いていない。学級を代表する立場の代表委員はいるが、放送委員や図書委員などと同様、高学年全員が所属する委員会の委員のひとつだ。

     宮部吉一副校長(43)は「子どもは将来、皆、社会に出る。特定の子どもだけをリーダーとして育てるのではなく、全員がその役割を果たせるように機会を設けたい」と話す。(山田睦子)

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    2016年09月13日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun