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    学校 モノ・風景

    「研究室並み」先端設備も…理科室

    読売新聞教育部 石塚公康

     「リトマス紙を野菜などの搾り汁に漬けると、色が変わって面白かった」。埼玉県草加市に住む元小学校教頭、中島清治さん(69)は、子どもの頃、学校の理科室で行った実験の様子を懐かしそうに語った。「隣の準備室には鳥の剥製や人の骨格標本などが置いてあって、不思議な世界にワクワクした」と話す。

     京都市学校歴史博物館の学芸員和崎光太郎さん(38)によると、理科室が本格的に造られたのは大正時代。明治時代は教師が本に書かれた内容を読み上げる授業が主流だったが、明治の終わり頃から、児童生徒が自ら実験や観察をすることが重視されるようになり、グループで作業できる大きな机を置いた理科室が設置された。大正時代に入るとさらに増え、「昭和初期には準備室も併設され、今の理科室の原型がほぼできあがった」という。

     科学技術の振興による復興が叫ばれた戦後、1958年に行政管理庁(当時)が実施した調査では、理科室がある小学校は41%、中学校は68%。分校になると、小学校は1・6%、中学校は16%にとどまったが、文部省(同)が53年制定の理科教育振興法に基づいて自治体に助成し、全国の学校で理科の授業で使う機器の整備が進んだ。

     近年は大学の研究室並みの設備の学校も出現。先端的な科学知識を活用する人材を育てようと、2009年に開校した横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校には、高性能の培養器や遠心分離機などを配備した多くの実験室、大型天体望遠鏡を備えた観測ドームがある。1年生の塗木翔天ぬるきしょうまさん(15)は「充実した施設で実験できて楽しい。目標は生物学者」と夢を語る。

     一方、アルコールランプのように理科室から姿を消しつつある器具もある。今はマッチを擦った経験のない子どもが多く、やけども各地で相次いだため、点火や消火が簡単なガスコンロに換える学校が増えている。

     小中学生の頃、アルコールランプをよく使ったという和崎さんは「危険だから排除というのではなく、子どもにはいろいろなものに触れる機会も大切なのではないか」と考えている。(石塚公康)

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    2016年09月27日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun