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    学校 モノ・風景

    座高で測った「丈夫な体」…健康診断

    読売新聞教育部 石井正博

     「昭和40年代は子どもが1000人以上いる学校でも、1人で10日以上かけて診ました」

     そう話すのは日本学校保健会顧問の医師雪下國雄さん(82)。「当時はまだ栄養不足の子もいて、感染症や障害などを見極めなければと懸命だった。今の子は体格も良く健康になった」

     学校の健康診断は、1878年に東京の体操伝習所で行われた「活力検査」が始めとされる。学校教育が始まって間もない頃で、子どもの健康づくりにと取り入れた米国の体操の効果をみるため、身長、体重、胸囲などを測ったという。

     文部省は88年、活力検査を制度化。程なく「身体検査」と呼び名が変わった。その後、戦争が始まる前後から、学校保健の重点は、蔓延まんえんしていた結核対策に置かれるようになった。公益財団法人結核予防会名誉顧問の島尾忠男さん(92)が初めてエックス線検査を受けたのは、旧制高校1年生の1942年。検査室はなく、「並んで順番を待つ間、仲間と物珍しい思いで撮影の様子を眺めていた」という。

     さらに、51年の結核予防法改正によって学校で結核検診や予防接種が行われるようになり、「日本は世界に類を見ない速さで結核を減らすことができた」。

     一方、座高測定と寄生虫卵検査は、昨年度いっぱいで健康診断の必須項目から消えた。座高測定は、胴長が健康と考えられていた戦前の37年、強い兵をと体の丈夫な者を選ぶ目的から始まったとされるが、戦後は長らく「意味がない」などの声が出ていた。58年に始まった寄生虫卵検査も子どもの感染率が激減し、事実上廃止された。

     これに対し、今年度始まったのは、関節や筋肉、骨などの健康状態を調べる「運動器検診」。運動の習慣がない、同じ運動ばかりしている、と二極化が進む中、児童生徒に身体の異常がないか見つけるのが狙いだ。

     千葉県南房総市立千倉中学校では4月、全生徒242人が、片方の脚でふらつかずに立てるか、足の裏全体を床につけてしゃがめるかなどの検査に取り組んだ。同校養護教諭の豊岡政江さんは「生徒が自分の体の状態を知る良い機会になった」と話していた。(石井正博)

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    2016年10月25日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun