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    学校 モノ・風景

    鐘や太鼓 ベルを経て…チャイム

    読売新聞教育部 福元洋平

     小学校時代は手持ちの鐘で「ガランガラン」、中学は空襲警報に使われた手回し式サイレンが「ウーウーウー」、高校に入るとベルが「ジリジリジリーン」。

     1970年頃、長女の授業参観に行ったら「キンコンカンコン」とチャイムが鳴ってびっくり――。埼玉県ときがわ町の岡野芳太さん(79)が、学校の時報の移り変わりをはがきに書いて送ってくれた。

     授業の開始、終了などを知らせる時報は、学校や地域によって様々だった。愛媛県西予市の開明学校(1882年築)には今も、明治時代に使われた木の時報板と木づちが残る。館長の堀内八重さん(61)は小学生の頃、通っていた学校の軒に西洋風の鐘がつるされていたのを覚えている。後にチャイムが設置されてからも停電時には活躍したという。水戸市の茨城県立歴史館に移築・保存されている旧水海道小学校本館(1881年築)では、太鼓をたたいて時刻を知らせていたとの記録がある。

    • 東京都大田区立大森第四中学校で使われているチャイムを鳴らす装置
      東京都大田区立大森第四中学校で使われているチャイムを鳴らす装置

     「キンコンカンコン」のチャイムが普及したのは、1950年代の半ばを過ぎてから。第1号の考案者については諸説あるが、東京学芸大学名誉教授の井上尚美さん(86)は東京・大森第四中学校の教師だった55年頃、故障の多いベルに代わるものをと校長に頼まれ、親類の技術者と一緒に装置を作ったという。細い金属の棒をハンマーで打って音を出す機械式で、当時、井上さんがラジオで聞いて気に入った英議会議事堂時計塔(愛称・ビッグベン)の鐘の音にした。

     チャイムは製品化され、徐々に各地に広まった。60年製が今も同校の壁に掛かっており、校長の柏隆さん(61)は「子どもの頃から教員生活までずっとこのメロディー。もう体の一部です」と笑った。

     一方、子どもに時間を意識する習慣をつけさせようと、あえて時報を鳴らさない「ノーチャイム」の学校もある。岩手県北上市の女性会社員(49)が、80年代に通った埼玉県の中学校にはチャイムを鳴らさない日もあった。「次に何をするか考えて行動する癖がつきました」。漫然と時を過ごすことがなくなったという。(福元洋平)

     「学校 モノ・風景」では学校生活を彩るモノや行事を通し、教室や子どもの暮らしの変遷をたどります。今後「学芸会」「ハーモニカ」などを取り上げます。エピソードに氏名、連絡先を添え下記の宛先へお寄せ下さい。
    (氏名、電話番号などを明記し、〒100・8055 読売新聞東京本社教育部へ。ファクス03・3217・9908.メールは kyouiku@yomiuri.com )
    2016年11月08日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun