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    スクールデイズ

    達成感が挑戦への意欲に…井原慶子さん

    聞き手・伊藤史彦

    カーレーサー

    • 井原慶子さん(竹田津敦史撮影)
      井原慶子さん(竹田津敦史撮影)

     東京都東村山市の市立小中学校時代、同級生に付けられたあだ名は「優等生」。勉強は完璧主義で性格は物静か、帰宅するとピアノを弾いている子どもでした。でも、実際には学習などの目標を達成できないことが多く、自信が持てませんでした。

     球技なども苦手で「私は運動神経もない」と思い込んでいました。中学1年生の時、黒板の字が読みづらくなり、両親にコンタクトレンズを買ってもらったら、飛んでくるボールがはっきり見えるようになったのです。運動が大好きになり、ソフトテニスの部活動に熱中しました。

     高校は第1志望の都立高校に進学しましたが、1年目の秋に父親の転勤で札幌市に転居しました。市内の北海道立高校に編入したのですが、理不尽さを感じ、高校生活を前向きに送る気になれませんでした。

     担任の先生が、両親を学校に呼び、私の前で「何か悩みがあるのか」と聞いたほどです。心配した両親の勧めで年末からスキーを始めました。

     最初は歩くこともできませんでしたが、練習するうちに滑れるようになりました。年明けのスキーの授業では、地元出身の同級生たちよりうまく滑ることができ、驚きました。担任の先生が「がんばっているじゃないか」と褒めてくれたのはうれしかったですね。「悩みを乗り越えられた」と思いました。

     高校卒業後、法政大学に進学。モーグルに打ち込み、学生大会で3位の成績も挙げました。大会の遠征費を捻出しようと、2年生の春から始めたのがモデルの仕事です。富士スピードウェイでレースクイーンを務めた時、ドライバーが命がけで車を操り、整備士が真剣に働く姿に感動し、運転免許も持っていないのにレーサーを目指す決心をしました。

     自分の心に素直に挑戦すれば、何らかの成果が出て、それが達成感や自信になり、さらに挑戦する意欲がわきます。昨年から、女性レーサー育成に取り組んでいます。後輩たちには「完璧でなくていい、今日やれることをやれるだけやろう」と教えています。(聞き手・伊藤史彦)

    プロフィル
    いはら・けいこ
     1973年、東京生まれ。99年、カーレースデビュー。2014年、フランスのル・マン24時間耐久レースでアジア人女性初の入賞。今年は米国のセブリング12時間レースなどに参戦。国際自動車連盟・ドライバーズ評議会メンバー、慶応大学メディアデザイン研究科特任准教授も務める。

    (2016年11月3日付読売新聞朝刊掲載)

    2016年11月07日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun