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    スクールデイズ

    誰もやっていないことをやる…角幡唯介さん

    聞き手・五十嵐英樹

    作家・探検家

    • 角幡唯介さん(上甲鉄撮影)
      角幡唯介さん(上甲鉄撮影)

     過疎が進む石炭の産地、北海道芦別市で生まれ育ちました。小中学校の頃は元気が良すぎる子どもで、スキーで転ぶなどして4回骨折。教室では先生をからかって、みんなを笑わせていましたが、先生にとっては腹立たしい存在だったと思います。

     実家は、近隣の町にも店舗を構える大きなスーパーを経営していました。長男の僕に継いでほしいという親の思いがひしひしと伝わってきました。しかし、自分の人生が決まったようで反発していました。それが、人と違うことをやりたいという気持ちにつながっていきました。

     親からは視野を広げるために東京の大学に行けと言われていました。そのために函館市の函館ラ・サール高校に入学。寮生活を送りました。

     その後、1年浪人して早稲田大学に入りました。大学選びは、早稲田を中退した母方の伯父の影響が大きかったです。髪を伸ばしジーパン姿で突然やって来る人で、話すことや物腰が僕の親とは対極的。「風来坊のおじさん」と呼んでいました。伯父の話を聞くうちに早稲田は何でもできる大学だと思ったのです。

     まずラグビーサークルに入りました。楽しかったのですが、2年生からは探検部に入部しました。中国のタクラマカン砂漠の横断やアフリカでの怪獣探しといった変わった活動紹介が、ラグビーより自分の生き方を決めてくれそうな予感があったからです。

     最初の夏休みにミャンマーを訪れ、帰国後、一緒に行った1学年上の先輩が変なことを言い始めました。富山県の剱岳の頂上にコンクリートを2メートル盛りつけ、「3000メートル峰にしてやろう」と。僕も賛同し計画書を部に提出しました。猛反対され断念しましたが、社会常識に風穴を開ける発想に影響を受けました。

     今年11月から、犬1頭を連れて太陽が昇らない冬の北極圏の探検を始めます。「誰もやっていないことをやる」という目標も探検の方法も大学当時と変わっていません。体力面で方向性は変わるかもしれませんが、探検活動は続けていきたいですね。(聞き手・五十嵐英樹)

    プロフィル
    かくはた・ゆうすけ
     1976年、北海道生まれ。新聞記者を経てノンフィクション作家に。2011年、チベット奥地のツアンポー峡谷を探検した体験をまとめた「空白の五マイル」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。近著に37日間の漂流を経験した漁師を描いた「漂流」。

    (2016年10月27日付読売新聞朝刊掲載)

    2016年10月31日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun