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    東北ことばも九州弁も…世界で見つけた「ニホンゴ」

    国立国語研究所准教授 朝日祥之

    こんなところに熊本弁が!

     その一端が、ハワイの日系人であれば誰もが知っていると言われた「ホレホレ節」の歌詞に見てとれます。

     ハワイ ハワイと 来てみりゃ地獄 ボースは悪魔で ルナは鬼

     カネはカチケン ワヒネは ハッパイコウ 夫婦仲良く 共稼ぎ

     条約切れるし 未練は残る ダンブロウのワヒネにゃ 気が残る

     この歌は19世紀末にハワイの日本人一世がサトウキビ畑での作業の中で,お互いを励ましあい、気を紛らわせるために生まれた民謡です。旋律は広島や山口、熊本の民謡が交ざり合ったもののようです。

     歌詞の中には、日本の方言や、外国語の知識がないと理解が難しいものが含まれています。例えば、「ボース」「カチケン」「ダンブロウ」は英語で、それぞれ「Boss(ボス、首領)」「cut cane(サトウキビを切る)」「down below(下に,底に)」の意味です。

     「ルナ」「カネ」「ワヒネ」「ハッパイコウ」はハワイ語です。それぞれ「監督」「男」「女」「(サトウキビなどの運搬に使う)台車」を意味します。当時の日系人たちの生活に、他言語の影響が少なくなかったことが、この歌詞からもうかがえます。

     ハワイの日常生活用語も、各地の言葉が交ざり合って独特のものとなりました。「Kaukau bai(ごはんですよ。Kaukauは「食べる」の意味のハワイ語,baiは日本語=ばい(熊本弁で「だよ」の意味))」「Koppe nome (コーヒーを飲みなさい。Koppeは「コーヒー」の意味のハワイ語,nomeは日本語=飲め)」「hapai go(運んでいく。Hapaiは「運ぶ」の意味のハワイ語,goは英語)」「Me no sabe(私は知りません。Meとnoは英語,sabeは「知る」という意味のポルトガル語)」などの例があります。

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    2016年12月13日 15時40分 Copyright © The Yomiuri Shimbun