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    連載「読解力が危ない」

    読解力が危ない(4)~本離れ防げ 魅力伝える

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     1月27日夜、JR東京駅近くのイベント会場は約300人の熱気に包まれた。来場者が耳を傾けたのは、6人の書店員によるお薦め本のアピール。

     ジャンルは小説から言語学を扱ったノンフィクションまで幅広い。「ビブリオバトル」と呼ばれるゲームで、5分間の発表時間内に本の魅力を紹介し、来場者が読みたい本を投票で決める。ゲスト参加した作家の浅田次郎さん(65)は「本を読むと自分の中で想像力が膨らむ。それから美しく楽しい時間が過ごせる。これがやっぱり読書の素晴らしさだと思う」と語りかけた。

     取り組みは約10年前、大学院の勉強会で取り上げる本を探すために発案された。ビブリオバトル普及委員会事務局によると、昨年は外部に公開されたものだけでも全国で1271回が開かれた。本を手に取るきっかけ作りとして注目されており、近年は中高生や大学生がお薦め本を紹介する大会も増えている。

     ただ、若い世代の本離れは深刻だ。全国大学生活協同組合連合会(東京)の2015年の調査によると、1日の読書時間がゼロの大学生の割合は45・2%で、34・5%だった12年以降、増加し続けている。高校生も同様で、全国学校図書館協議会の16年調査では、1か月に1冊も本を読まない生徒が13年より12・1ポイント増えて57・1%に上った。

     こうした状況に出版社も危機感を強めている。新潮社は13年から「中高生のための新潮文庫ワタシの一行大賞」を始めた。前年までは読書感想文コンクールを行っていたが、心に残った1行を選び、理由をまとめる形式に改めたところ、約1万通だった応募が倍増した。同社広報宣伝部の馬宮守人次長(56)は「自分の感性で1行にまつわる体験を語れる点が受け入れられた」とみている。

     高校生が直近1年の直木賞候補作から1作を選ぶ「高校生直木賞」という取り組みもある。文芸春秋が支援しており、全国大会では各校代表が激論を交わす。昨年は30歳女性が主人公の作品が選ばれたが、「心がえぐられすぎてつらい」「自分が成長したら、もう一度読み返したい」などの意見が3時間半も出続けた。

     ビブリオバトルを考案した谷口忠大ただひろ・立命館大准教授(38)は「これまで読書のインプットの面ばかりが強調されてきたが、中身を理解し、自由に表現するアウトプットにも光を当てるべきだ」と指摘する。本を読み、自分の考えを表現する――。それが読解力向上につながる。

    2017年02月17日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun