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    学校 モノ・風景

    仲間入りを確認する日…入学式

    読売新聞教育部 朝来野祥子

     「洋服を新調してもらい、母に付き添われて臨みました」。山形県米沢市の公務員白石侯明よしあきさん(54)が、小学校の入学式の思い出をメールで寄せてくれた。「新生活にわくわくする反面、古い校舎のトイレやだるまストーブを怖くも感じた」

     日本大学の小野雅章教授(57)(日本教育史)によると、小学校入学時に正式な式典が行われるようになったのは、1890年代の後半以降。半年ごとの試験に合格した者だけが進級するそれまでの等級制に代わり、4月始業3月終業の「学年制」が導入されたのが契機とみられる。

     小野教授は「その頃は個別能力主義から集団性を重んじる教育へと転換した時代で、児童が学び合うことを確認する儀式として意味を持つようになったのではないか」と考えている。

     当時の式典は君が代の斉唱や校長のあいさつくらいで、国旗の掲揚や校歌の斉唱はなかったという。その後、1989年改定の学習指導要領で、入学式や卒業式で国旗掲揚、国歌斉唱をするよう定められた。

     横浜市教育委員会によると、今の小学校の入学式は、校長や来賓のあいさつ、担任の発表、国歌、市歌、校歌の斉唱、上級生による学校の紹介など盛りだくさんの内容。しかし、まだ幼い新1年生に配慮し、卒業式より時間は短くしてあるという。

     時代とともに、子どもに付き添う母親の服装も変わった。昭和の頃は、春らしく明るい色の訪問着に黒い絵羽織が定番だったが、教育関連のベネッセコーポレーションが2013年に実施したアンケートでは、59%の母親がスーツと回答。ワンピースが35%で続き、着物はわずか2%だった。

     東京で桜が見頃を迎えた今月6日、北区の2校を統合して開校した滝野川もみじ小学校で入学式が行われた。南里洋子校長は「今日は特別な入学式です。皆さんは1期生。元気に登校してください」と新1年生に呼びかけた。式では、詩人・谷川俊太郎さんの絵本の読み聞かせもあり、新生活が始まったばかりの子どもたちは、神妙な面持ちで聞いていた。(朝来野祥子)

     「学校 モノ・風景」では学校生活を彩るモノや行事を通し、教室や子どもの暮らしの変遷をたどります。今後「家庭訪問」「フォークダンス」などを取り上げます。エピソードに氏名、連絡先を添え下記の宛先へお寄せ下さい。
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    2017年04月25日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun