<速報> 東芝、半導体子会社を日米韓連合に売却決定
    
    文字サイズ
    学校、受験など教育に関する掘り下げた記事をタイトルごとに掲載します。
    スクールデイズ

    カンボジア訪問 救われた…安田菜津紀さん

    聞き手・金来ひろみ

    フォトジャーナリスト

    • 安田菜津紀さん(冨田大介撮影)
      安田菜津紀さん(冨田大介撮影)

     小学校3年生の時に両親が離婚し、中学生の時に父と兄を相次いで亡くしました。ショックと悲しみで、心が引き裂かれそうで、家や学校を遠ざけ、繁華街で朝まで遊ぶような日が多くなりました。

     現実から逃げていた私を救ったのは、高校2年生の時のカンボジア訪問です。私を心配してくれた先生が、日本の子どもを東南アジアに派遣して現地の様子を取材させる非営利団体のプログラムを紹介してくれたのです。

     カンボジアでは、人身売買の被害に遭った子どもたちの自立を支援する施設を訪問しました。子どもたちは、だまされて売られ、虐待も受けてきたのに、自分よりも家族を心配していました。「どうせ周囲は分かってくれない」と思っていた私と比べて、なんてたくましく優しいのだろうと衝撃を受けました。

     私も誰かを支えられるよう努力したい。カンボジア訪問で感じたことを日本で伝えようと、帰国後、新聞社や出版社などに頼んで記事を書かせてもらいました。

     でも、同年代の高校生たちに、それらの記事は遠い存在でした。そこで、カンボジアで撮影した写真をクラスの皆に見せたところ、会話をしたこともなかった同級生までが興味を示してくれました。

     高校3年生の時、紛争地をテーマにした写真展で見た1枚の作品の前で動けなくなりました。アンゴラで子どもを抱く母親の写真でしたが、その目はカンボジアで出会った子どもたちが家族を守ろうとする目と同じでした。

     大学時代、あの親子を撮影したフォトジャーナリストの渋谷敦志さんと出会いました。シャッターを切る一瞬に思いを込める渋谷さんの影響で私は同じ道を志し、感じたことを人と共有する扉になる写真を撮り続けようと決意しました。独学で写真を勉強し、アルバイトでためた資金で海外に渡航し、撮った写真を雑誌などに発表しました。

     今では学校で講演を頼まれると、高校時代にカンボジアに行った話をします。私が一歩踏み出せたのは大義があったからではない。変われるきっかけはすぐそばにあるかもしれないと伝えたいのです。(聞き手・金来ひろみ)

    プロフィル
    やすだ・なつき
     1987年、神奈川県生まれ。上智大卒。東南アジアや中東、アフリカ、日本などで難民や貧困、災害などを取材。2012年、第8回名取洋之助写真賞受賞。テレビのコメンテーターやラジオのナビゲーターとしても活躍。近著に「写真で伝える仕事 世界の子どもたちと向き合って」。

    (2017年7月13日付読売新聞朝刊掲載)

    2017年07月17日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun