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    学校 モノ・風景

    天然芝導入 けが防ぐ…校庭

    読売新聞教育部 伊藤史彦

     「小学校の校庭には粒の大きな砂が敷かれ、組み体操をすると、手や膝にめり込んで痛かった」。東京都町田市の遠藤有里子さん(49)が思い出をメールで寄せてくれた。

     校庭は江戸時代の藩校や寺子屋にはなく、1872年(明治5年)の学制発布後、各校の周りに子どもの遊び場が設けられるようになったのが始まりだ。

     授業で体操が教えられるようになり、文部省は91年(明治24年)、小学校に「体操場」を備えるよう定めた。その4年後、文部省が作成した校舎設計の指針で、体操場は校舎の南側か東側に設けられるようになる。

     この頃になると、運動会の場所が神社の境内や河原などから校庭へと移り、野球も盛んに行われ、より広い校庭が求められるようになった。

     自然土の校庭は雨が降るとぬかるみ、乾くと土ぼこりが舞って、近隣住民からの苦情の種だった。また、明治の終わり頃から、都会ではアスファルト舗装の校庭が登場したが、地面が硬く、膝を痛める子どももいた。

     屋外スポーツ施設の建設会社「長谷川体育施設」(東京)によると、1960年代以降、アスファルトの上に合成樹脂を塗ったり、ゴムチップを敷いたりして弾力性を持たせるようになった。土の校庭では、岩を粉砕加工した砂を敷き詰める工法も普及。砂の比重が大きいため、飛散しにくいのが長所だ。

     最近は、けがの防止や都市部の気温が周辺地域より高くなる「ヒートアイランド現象」の軽減などを目的に、校庭に天然芝を敷く学校が増えている。文部科学省の2015年度の調査では、全国の公立学校2362校が導入している。ただ、芝がはげたり、養生で校庭が使えない期間があったりと難点もあり、全体では1割に満たない状況だ。

     東京都新宿区立落合第五小学校は今年度、校庭一面を天然芝に張り替えた。3年生の男子児童(8)は「寝っ転がると気持ちいいし、転んでもけがしない」ととても気に入った様子だ。古谷勉校長(55)は「維持に手間はかかるが、子どもたちが安心して遊べるのが一番です」と笑った。(伊藤史彦)

     「学校 モノ・風景」では学校生活を彩るモノや行事を通し、教室や子どもの暮らしの変遷をたどります。今後「学級通信」「ラジオ体操」などを取り上げます。エピソードに氏名、連絡先を添え下記の宛先へお寄せ下さい。
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    2017年07月25日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun