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    学校 モノ・風景

    教師と子ども、親つなぐ…学級通信

    読売新聞教育部 山田睦子
    • パソコンに生徒や親へのメッセージを打ちこむ合田教諭。30分程度で仕上げるという(東京都杉並区立杉森中学校で)
      パソコンに生徒や親へのメッセージを打ちこむ合田教諭。30分程度で仕上げるという(東京都杉並区立杉森中学校で)

     「長男が小学校6年の時の担任が毎日発行してくれたので、学校での出来事がよく分かりました」。さいたま市の加辺かべ光子さん(65)が約30年前の様子を書いたファクスを寄せてくれた。はがき大の学級通信はノートに貼って今も保管してある。

     マラソンを他のクラスより頑張ったとか、給食をこぼした子がいたとか。見返すと記憶がよみがえる。「先生は子どもを一人ひとりよく観察して理解してくれていた。頭が下がります」

     学級通信の歴史に詳しい文教大学の太郎良信たろうらしん教授(65)によると、源流はガリ版(謄写版)の普及で広まった戦前の作文集「学級文集」に遡る。子どもの日常をつづった文集で、子ども同士や親たちが学校での出来事を共有できた。

     ただ、文集の発行は多くて月に1回。年に1回程度のこともあり、きめ細かく知らせようと出されたのが学級通信だった。学校教育を親に理解してもらう狙いもあり、長崎県には1930年代、親の識字能力を考慮して平仮名の通信を出した教師の記録も残っているという。

     戦後は教師がこぞって取り組むようになり、学級通信を研究する文京学院大の木村学准教授(44)は「70年代の学校の職員室には、学級通信を作るようになって一人前と言われる雰囲気があった」と話す。

     通信は、教師の結婚の報告や子どもの反応、教師から親への要望や親からの感想、子どもの日記など多彩な内容で、教師と子ども、親の心をつないだ。

     しかし、その活動もやがて下火に。「教師の多忙化に加え、個人情報を伏せたり、発行の度に校長の許可を得たりする必要が生じ、ハードルが上がったのが要因だ」(木村准教授)

     そうした中、東京都杉並区立杉森中学校の合田淳郎ごうだあつお教諭(54)は、教師になった約30年前から学級通信や学年通信を発行し続けている。

     かつてはボールペンで手書きしていたが、今はパソコンに、行事に向けた心構えや事後の感想、反省、生徒や保護者に考えてほしいことなどを打ち込む。「愛情を注いで生徒を育てているという思いが伝われば」と願っている。(山田睦子)

     「学校 モノ・風景」では学校生活を彩るモノや行事を通し、教室や子どもの暮らしの変遷をたどります。今後「ラジオ体操」「遠足」などを取り上げます。エピソードに氏名、連絡先を添え下記の宛先へお寄せ下さい。
    (氏名、電話番号などを明記し、〒100・8055 読売新聞東京本社教育部へ。ファクス03・3217・9908.メールは kyouiku@yomiuri.com )

    2017年08月08日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun