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    スクールデイズ

    集団が苦手 一人ピアノ弾く…ヒャダインさん

    聞き手・小田倉陽平

    音楽クリエイター

    • ヒャダインさん(繁田統央撮影)
      ヒャダインさん(繁田統央撮影)

     出身は大阪市です。幼い頃から運動は苦手でしたが、3歳で始めたピアノは得意でした。小学6年の時、音楽発表会で合奏のリーダーを務めました。でもイメージ通りの表現ができず、一人で音楽に取り組むのが好きになりました。

     中学、高校は市内の私立の進学校に通いました。勉強は好きでしたが男子校で恋愛は縁遠く、音楽活動が盛んな校風でもなかったので、灰色のような6年でした。吹奏楽部に所属したものの、部員は3人ほど。演奏は成立しません。音楽室で一人ピアノを弾く時間が、唯一の楽しみでした。

     学校では特定の人としか話さず、集団は苦手でした。一人でいるのを見られるのが嫌で、中学ではよく、トイレの個室で弁当を食べました。

     中学、高校と私立に通わせてもらったので大学は学費の安い国立に進もうと、ものすごく勉強し、京都大総合人間学部に合格できました。

     入学後は、髪を染めたりピアスを開けたりして見た目を変え、人と積極的に話すようになりました。でも結局、集団が苦手な性格は変わりませんでしたね。

     幼い頃から将来の夢はありませんでした。転機が訪れたのは大学3年の夏です。就職活動に乗り遅れたのを機に、本場のミュージカルに触れるため、単身ニューヨークを訪れました。その帰国直前の2001年9月11日、同時テロが起き、帰れなくなりました。ブルックリン橋でふと将来のことを考え、「人生に予定調和はない。ならやりたいことをやろう」と、音楽の道へ進もうと決めました。

     数年間は仕事がなく、アルバイトを掛け持ちしました。07年頃から動画サイトに「ヒャダイン」名義で曲の投稿を始めました。語源はテレビゲーム「ドラゴンクエスト」の呪文です。ネット上で評価されて自信がつき、仕事も軌道に乗り始めました。

     僕は運良く音楽を仕事にできましたが、夢は必ずかなうわけではありません。でも、挑戦しなければずっと後悔するかもしれません。可能性は少なくても、トライする気持ちだけは持っていたいですね。

    プロフィル
    本名・前山田健一。
     1980年、大阪府生まれ。京都大を卒業後、本格的な音楽活動を開始。ももいろクローバー(当時)の「行くぜっ!怪盗少女」(2010年)など、様々なアーティストへ楽曲を提供し、自身も歌手、タレントとして活動する。

     

     (2017年12月21日付読売新聞朝刊掲載)

    2017年12月25日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun