文字サイズ
    学校、受験など教育に関する掘り下げた記事をタイトルごとに掲載します。
    スクールデイズ

    小6で長編小説執筆…海堂尊さん

    聞き手・渡辺光彦

    医師・作家

    • 海堂尊さん(萩本朋子撮影)
      海堂尊さん(萩本朋子撮影)

     千葉市の住宅街で育ちました。両親とも教員でしたが、特に厳しくはなく、自由な家庭でした。

     小学校では、よく本を読みました。「シャーロック・ホームズ」で私立探偵に憧れ、「ファーブル昆虫記」では昆虫学者になりたい、と夢を見ました。吉川英治の「三国志」に触発されて6年の時、初めての長編小説を書きました。タイトルは「四国志」です。諸葛孔明が好きだった私は軍師役。クラスメートも、個性に合わせて登場させました。「面白い」と回し読みされ、最終的に大学ノート3冊分の3部作となりました。

     運動も得意だったので、春と秋には陸上、夏は水泳、冬はサッカーの学校代表として地域の大会に出ました。放課後や夏休みは、スポーツに明け暮れていましたね。

     好きだった水泳は中学でも続けましたが、県立千葉高校に進学後は一転、剣道を始めました。格闘技をやっておけば、暴漢に襲われても撃退できる、と思ったのです。進路は、人間に興味があったので哲学と医学を考えましたが、哲学は独学でも勉強できると思い、医学を選びました。学生生活が6年あることも魅力で、1年間の浪人をへて千葉大医学部に進学しました。

     ただ、医者へのこだわりが強くなかったせいか、大学では剣道とマージャン、酒に夢中になり、留年してしまいます。しかし、患者と接する実習に臨んでからは、いい医者になろうと必死でした。

     卒業後は外科医や病理医として働き、医療に対する自分の思いを発表したくて、作家としての活動も始めました。

     場当たり的に行動してきたようですが、常に目の前のことに集中していました。

     人生は、何が後で役に立つのか分かりません。剣道で培った心構えは、手術に向かう意識と共通点があります。幼い頃から様々なスポーツに取り組んだので、長時間の手術に耐える体力もつきました。作品を一気に書き上げるにも、十分な体力が必要です。

     やる、と決めたら徹底的に集中する。この気持ちは子供の頃から持ち続けています。

    プロフィル
    かいどう・たける
     1961年生まれ。外科医などとして大学病院などに勤める傍ら、2006年に「チーム・バチスタの栄光」で作家デビュー。現在、キューバ革命を描く小説「フィデル!」を週刊文春に連載中。「ブラックペアン1988」が原作のドラマがTBS系で放映中。近著に「玉村警部補の巡礼」など。

    (2018年5月17日付読売新聞朝刊掲載)

    2018年05月21日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun