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国内初 日本手話で全授業、東京・品川に来春開校国内初の「日本手話」ですべての授業を行うろう学校が、来春の開校へ向け準備を進めている。今年3月、都が国に申請した特区申請が認められた。子どもたちが自然に身につける「日本手話」を第1言語として学ぶ教育法は、ろう教育の選択肢を広げる一歩として期待されている。 ろう教育はこれまで、補聴器を使用して唇の動きを読み取り、発声練習で日本語を学ぶ「聴覚口話法」が主流。手話はむしろ日本語獲得の障害になるとして、ほとんど使われてこなかった。国立特別支援教育総合研究所が2004年に行った調査では、手話を日常会話など何らかの形で使っている学校は小学校で7割、中学校で9割と増加する傾向にあるが、日本語の語順に、手話の単語を単純にあてはめただけの「日本語対応手話」も多いのが現状だ。 新しい学校は、日本手話で1999年から授業を行ってきたフリースクール「龍の子学園」を運営するNPO法人「バイリンガル・バイカルチュラルろう教育センター」(米内山明宏代表理事)が同学園を母体に東京都品川区に作る。日本手話で、認識力や思考力を養った上で、日本語の読み書きを学ぶ「バイリンガル教育」を行う。 ろうの子どもは、耳の聞こえる子どもが周囲が話す声から自動的に身につけるように、音声言語の習得ができない。音声が確実でない中で発声を訓練する口話法は、音を聞かない状態で話す人の唇の動きだけで外国語を学ぶような困難が伴い、言語習得に個人差が大きかった。一方で、米国や北欧では20年ほど前から、手話を学んだ上で、言葉を学ぶ「バイリンガル教育」が選択肢の一つになっている。デンマークでは、大学入学試験にあたる「上級卒業試験」で、健常者の学生と学力に差がないという調査結果もあり、手話で思考力の基礎を確立する重要性が指摘されている。 設立準備委員会事務局の長谷部倫子さんは「これまでのろう教育は健常者に近づくことが目標だった。手話を身につけることで自分に自信を持ち、言いたいことが表現できる自我を育てたい」と話している。学校設立には、4500万円の準備金が必要で、寄付を募っている。学校法人明晴(めいせい)学園設立準備委員会((電)03・6380・6750)まで。(片山圭子) ◆思考力育てる基礎にも 言語学や脳研究の進歩で、日本手話の言語としての実力が注目されている。 日本手話は、ろうの子どもたちが特別な訓練もせずに、自然に身につけられる。赤ちゃん言葉の「なん語」もある。複雑な内容を表現できる文法や豊富な語彙(ごい)がある。 東京大学の酒井邦嘉・准教授らの実験では、日本手話と日本語で、会話時に働く脳の部位が完全に一致した。左脳の損傷で音声言語の失語が起きるように、手話の失語が起きる。 酒井准教授は「手話は、単なるジェスチャーの延長と誤解している人も多いが、完全な文法体系を備えた言語で、抽象的な表現も可能。子どもたちが自然に身につけられる言語で学ぶことは思考を育てる基礎となり、教育の選択肢として重要」と話している。 (2007年5月23日 読売新聞)
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