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教育予算5%増、独り歩きする数字「少子化なのに、なぜ教育予算が増えるのか」 来年度の国の予算に絡んで、素朴な疑問を読者から突きつけられた。 文部科学省によると、公立小中学校の児童生徒数は1989年度の1488万人から2005年度には1043万人まで30%も減っている。この間、小中学校にかかる費用は8兆6299億円から9兆977億円となり、5%増だ。
予算、授業時間の多寡 「ウラ」を見極めたいしかし、教育費増加の最大の原因は、教員の給料のベースアップや平均年齢の上昇による。少子化でおのずと教員の定数も減るが、給料の<自然増>で1兆円規模の引き上げ要因になっているという。 少子化によって、一つの学校の規模が小さくなっている。しかし、単純に教員の数が減らせるわけでも、光熱費が減らせるわけでもない。学校にも効率が求められることは確かだが、そもそも、学校には、非効率な面があるものだ。「それがわかってもらえない」と教育関係者は嘆く。 教育を巡る数字には様々な誤解がある。 「日本の先生は、主要先進国の平均より、1年間に授業を持つ時間数が3割も少ない」 こんな数字が最近、財務省から示された。3割の根拠は、経済協力開発機構(OECD)の集計した05年の数字だ。最も多い米国だと中学校で1080時間に対し、日本は505時間で、3割少ないどころか半分にしかならない。こんなことは常識的にもありえないだろう。米国の数字は、休憩や昼食の時間も含んだ在校時間だという。 しかし、数字は独り歩きを始める。「3割少ない」は、識者による新聞原稿にも引用され、文科省がメールマガジンで反論する事態にもなった。 新しい学習指導要領を巡る議論でも、諸外国に比べて授業時間が少ないという議論があったが、かなりあいまいな部分が多く、単純に多寡を論じてはいけない。教育に限らないことだが、数字を根拠に議論するときは、説明する側は十分な説明が必要だ。それを利用する側も、細心の注意が必要なことは言うまでもない。特に国際比較は要注意だ。 OECDといえば、3年ごとに行われている国際学習到達度調査(PISA)で、03年に2位だった日本の子供の「科学的応用力」が、06年調査では6位に下がったと報じられた。当初は12月4日に世界同時発表されるはずだったが、スペインのメディアが勇み足をした。 もちろん1位になることはすばらしいが、オリンピックのメダル争いとは違う。現実はしっかり見つめなければならないが、数字を冷静に読む目も持ちたい。(中西茂) (2007年12月1日 読売新聞)
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