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教壇に立つ気力がわかない

大分県、女性

 小学校教諭です。ここ1、2年、とにかく疲れやすく仕事に対する気力がわきません。特に、今の学校に転任してきてからひどくなりました。クラスが最初荒れ気味で、思うような授業ができなかったせいもあると思うのですが、なんとか今は立て直し、落ち着いて授業できています。それでも、もっとこうした方がいいとか、あれもしてやりたいとか思うのですが、帰るとどっと疲れが出て何もできずに翌日を迎えます。休日は家族と遊びに出たいのですが、疲れておっくうなのと、仕事が気になって出かけられません。肩こり、腰痛もひどくなりました。こんな状態で子どもたちの前に立っていていいのか? 一度主人にやめたいと言ったら否定はされませんでした。でも現実的には家のローンもあるし、やめられる訳はないのです。クラスの子どもにも、自分の子どもにも中途半端なこの状態を何とかしたい。気持ちを前向きにしたい……。心療内科などにかかった方がいいのでしょうか。

大阪学院大学助教授 加茂 英司

 精神、もしくは肉体の両面での医療的な問題も否定できません。その意味では病院に行かれてもいいかと思いますが、今日は私の立場での回答をさしあげたいと思っています。

 私ども夫婦も共働きで、子育て中です。私は46歳、家内は38歳。子供は3歳です。家内は学校を出てからずっと同じ会社で働き、すでに20年近く勤めていることになります。結婚をしたとき家内は32歳。4年後に初めて子供に恵まれました。子供との暮らしは幸せそのものですが、その後の生活は一変しました。朝7時前に起き、8時に子供を保育所に預けますが、保育所も決して近くはありません。フルタイムの仕事に出かけますが、通勤は片道1時間弱ほどでしょうか。夕方の5時15分に仕事が終われば、ばたばたと買い物をして夜の6時半ごろに子供を迎えに行き、帰宅後夕食の準備をして子供に食べさせ、風呂に入れて寝かせるとすでに10時前。保育所の日誌を書き、自分も風呂に入り、寝るのは12時を過ぎます。

 どこの共働きの夫婦でも似たような生活でしょうが、私の家内もくたくたになっています。私は職業柄、一般の民間のサラリーマンに比べると多少の時間の融通がききますから、保育所の送り迎えや夕食の準備、子供の世話など、他の家庭のご主人よりも家事や子育てを手伝っているとは思いますが、それでも家内を見ると疲れきっているのがわかります。子供を寝かしつけながら、家内もそのまま朝まで寝てしまうこともしばしばです。年齢を考えると、2人目の子供を急ながなければと夫婦で話していますが、今の暮らしを考えるとなかなか難しいのが現状です。

 こんな事情ですので、実は私達夫婦も、相談者と同じような類の悩みを持っています。まだ3歳の子供なのに保育所に預ける時間が長く、「3歳神話」を神話だと頭の半分では理解しても、もう半分の頭の中ではどことなく罪悪感をぬぐいきれていません。子供の熱が出ればどちらかが迎えにいきますから、仕事も中途半端になるときがあります。仕事にも子供の世話にも中途半端だと感じているのは相談者だけではなく、世間の共働き夫婦の共通の悩みだと思うのです。その悩みをご主人も相談者と同じように感じているからこそ、相談者が「仕事を辞めたい」と言っても、ご主人は否定されないのでしょう。

 相談者の悩みは仕事と子育て、そして家事負担が大きすぎることにあると、私は文面から判断しましたが、どうでしょうか。もしそうであれば、仕事を辞めることを最後の手段と考え、とりあえず負担を軽くする他の手段を模索してみてはいかがでしょうか。

 通勤時間の短い学校に転勤できればいいですが、そうでなければたとえば家事をご主人にもっと負担してもらう。あるいは有料の家事サービスを利用する。夕食はスーパーの惣菜にいたしましょう。なんとか楽になる方法を探しましょう。頑張っておられる姿は立派ですが、がんばりすぎに注意が必要ですよ。

回答者略歴 かも・えいじ 松下電器産業国際部門、神戸大非常勤講師などを経て、現職。社会人として大学院で学んだ経験を生かし、社会人の進学相談や留学相談も。マーケティングの研究に携わりながら教育、ボランティアなどについて執筆、講演活動に取り組む。主な著書に「社会人大学院入学・活用ガイド」(日本実業出版社)。
2007年4月6日  読売新聞)
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