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(1) 読書教育で読解力向上写真の拡大
![]() 中学1年生に本を紹介するヌルメラさん(バルティオキュラ中学校で)
国際調査で「読解力」トップのフィンランドは読書大国だ。 「この学校の近くのお屋敷に、幽霊の伝説があるのを知ってる? 市内を舞台にした怪談ばかり集めた本が出版されたのよ」 首都ヘルシンキの東部にあるバルティオキュラ中学校の1年生のクラスに、近所のイタケスクス図書館のレーナ・ヌルメラさん(36)がやってきた。国語の時間を使った「キリャヴィンッカウス(本のヒント)」と呼ばれる特別授業だ。 ヌルメラさんは教壇にお薦めの本16冊を並べ、1冊5分ほどかけ、内容を紹介しながら短く朗読もする。16人の生徒が集中して聞き入っていた。 「本のヒント」の担い手は、国の研修を受けた図書館員。人口約56万人の首都ヘルシンキ市には38の図書館があり、担当者は20人いる。 「私たちの役目は、いかに子供を読む気にさせるかだ。小学生は、モノをガツガツ食べるように、本を読みあさる世代。需要に応えたい」と青少年部長のレーナ・パルムさん(57)。同図書館だけで昨年、78回の「本のヒント」を実施している。
小学校では1か月ごとに図書館に出向き、子供に好きなだけ本を借りさせることも、一般化している。近くに図書館がない学校にはバスの移動図書館がやってくる。 ヘルシンキ北部のトウルヌンミ小学校を訪ねると、2クラスある2年生の担任の一人、サンナ・ヘンミラさん(31)が、休み時間に児童と教室で本を読んでいた。 壁には、丸く切った直径20センチほどの画用紙に書かれた読書感想文が数珠つなぎに張られていた。よく見ると先頭はイモムシの頭で、1枚1枚の紙はその体だ。紙を連ねて1年間で教室を1周させる。 「2年生は図書館に通う最初の年なので、本好きにさせる方法として私があみだしたのよ」。紙には子供たちの感想のほかに、星の数でどのくらい面白かったかも示されていた。 文学を単に読むのではなく、評価できることが、国の教育課程で目標となっているため、国レベルで、インターネット上の掲示板に、本を評価し合う取り組みがあり、小学生まで参加している。 ヘルシンキには、一番本を多く読んだクラスを表彰する制度もある。フィンランドは「図書館利用率世界一」が自慢で、人口約520万の国民が一人あたり年21冊を借りている計算だ。 しかし、実はフィンランドでも、1990年代に、若者の読書離れの傾向が見られた。このため、国家教育委員会は2001年から04年までを読み書き力向上強化期間に充てていた。同委員会のピリョ・シンコ審議官(55)は「読解力が2000年トップになったこと自体に驚いた。それを03年も維持できたのは、政策の成果だ」と強調した。
経済協力開発機構(OECD)の国際学習到達度調査で注目を集めたフィンランド。我が国以上に、教育を国づくりの柱に据える。その現場から報告する。(西島 徹、写真も)
日本では… ◆図書館活用に課題 ヘルシンキと同規模の千葉県船橋市(約56万4000人)は、市立図書館が分館を入れて10館、大阪府東大阪市(約51万3000人)では図書館が府立を含めて6館、鹿児島市(約60万5000人)でも県立を含めて13館。各自治体の担当者は「貸し出しポイントの多さを見習いたい」「まだまだ蔵書数も拠点数も不足している」などとコメントする。 文部科学省の社会教育調査(2002年)では、国民1人あたりの公共図書館貸し出しは年間4.1冊。 (2005年3月23日 読売新聞)
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