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フィンランド報告

(4) 音楽・体育 個性伸ばせ

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音楽特別コースの授業では様々なジャンルの曲を学ぶ(ヘルシンキ市立クルーヌンハカ中学で)

 子供たちの個性を伸ばすため、小中学校段階から多様な特別コースが準備されている。

 ヘルシンキ市南部のクルーヌンハカ中学校の音楽室にビートルズの名曲「レット・イット・ビー」が流れていた。演奏するのは、音楽特別コースの1年生。別室では、同じコースの他の1年生がパソコンの自動演奏ソフトを使い、作曲や編曲の勉強に励んでいた。

 フィンランドの中学校で音楽の授業を受けるのは、通常、1年生から3年生までのいずれかの学年の1年間だけで、しかも週1時間が原則だ。これに対して、この音楽特別コースでは、卒業するまで毎週3時間の授業が準備されている。

 生徒の多くは音楽の名門校・シベリウス音楽高校への進学を目指すという。チェロが専門でバッハの無伴奏チェロ組曲第3番を披露してくれた3年生のソニア・サーリコスキさん(16)は「一日の練習時間は約4時間。将来はオーケストラの演奏者になりたい」と夢を語ってくれた。

 同中学には、音楽特別コースのほか、ダンスの授業を週2時間受けることが出来るダンス特別コースもある。音楽とダンスの先生は、学校が独自に採用して増員されているという。

 多くの生徒が通う普通コースは、通学区域が決まっているが、特別コースには学区がなく、ヘルシンキ市内に住んでいれば、どの地域からでも通学は可能。ただ、特別コースには、適性試験があり、クルーヌンハカ中学校の音楽特別コースの場合は、歌か演奏の実技と音楽理論が課せられ、75〜80人の募集枠に例年約100人が挑む。

 ヘルシンキ市教育局のマリョ・キッロネン教育長は「出来る子を特別扱いするのではなく、個性を伸ばすのが目的。音楽が好きなら音楽、数学が好きなら数学。家庭の経済的な負担を増やさずに学べるようにするための仕組みだ」と語る。

 首都・ヘルシンキに計113校ある市立の小中学校・総合学校(小中一貫校)のうち、特別コースを設置しているのは52校。中学校段階では、音楽やダンスのほか、体育、外国語、数学などのコースも設けられており、音楽と外国語は、小学校段階から特別コースがある。小学校の場合も、各校が実施する適性検査に合格しなければならない。

 個性重視の教育にも、課題はある。フィンランドでは、1994年以降、教育内容を決める権限が、大幅に国から自治体に移り、国はカリキュラムの大枠を示すだけになった。このため、子供の個性にきめ細かく対応する特別コースへの取り組みは、地域により差があるという。

 国家教育委員会のイルメリ・ハリネン総合学校部長は「他教科の最低時間数を守る限り、特別コースにどの程度取り組むかは、学校や自治体の判断。ただ、地方では先生の確保が難しく、ヘルシンキのような大都市より取り組みが遅れている」と語っている。

 日本では…

 ◆選択教科が増加傾向

 わが国でも、中学校では選択教科を増やす傾向にある。2002年から実施の現学習指導要領では、1年生から全教科で選択教科が開設可能になった。2、3年生では1つの選択教科を週2コマ設けられるようになったため、必修教科と併せて音楽も週3コマ実施することができる。ただ、「興味・関心に応じた選択幅の拡大」が狙いのため、選択肢を数多くそろえる傾向が強い。国の公立中調査で、3年生では8割強の学校が7教科以上の選択教科を設けていた。

2005年3月26日  読売新聞)
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